商務省は2026年3月23日、エネルギー危機による便乗値上げを防ぐため、59品目の生活必需品に対する価格監視を強化すると発表した。スーパー・市場のパトロールも実施し、消費者を守る姿勢を示した。
価格監視の対象品目
59品目の対象品目には、鶏卵、豚肉、食用油(パーム油・大豆油)、米、砂糖、醤油・ナンプラー、インスタントラーメン(マーマー等)、洗濯洗剤、シャンプー、ガス缶(LPG)、石鹸などが含まれる。これらは中東の軍事衝突に起因するエネルギー価格高騰の影響を受けやすく、流通コスト増加が末端価格に転嫁されやすい。
商務省は取締局を通じて、全国の市場・スーパーマーケット・小売店に対して担当者を派遣し、価格の実態を確認した。3月23〜25日には省の幹部が直接市場視察を行う予定も組まれた。
便乗値上げとは
合法的な「コスト上昇に伴う値上げ」と「便乗値上げ(ฉวยโอกาสขึ้นราคา)」は区別される。タイ物価法(Pricing of Goods and Services Act)の下では、主要な生活必需品の価格を「適正に制御」する権限が商務省に与えられており、正当な理由なく値上げする業者には罰則がある。
今回の措置では「タンカ・ファー・タンカ・キャオ(Tongfah-Tongkiao)」という商務省主導の廉価販売プログラムも発動された。これは移動販売車や特設市場で市場価格より安く生活必需品を提供するもので、燃料高などの危機時に活用される。
価格上昇の実態
2026年3月時点で、すでに複数の食品・日用品の価格が上昇していた。鶏卵は1個あたり20〜30サタン(約1円弱)の値上がりが報じられ、上院議員が議会で問題提起するほどだった。洗剤・シャンプーなどの日用品も3〜5%の値上がりが見込まれていた。
物流コストの増加は食品全体に波及しており、特に遠隔地への輸送が必要な品目では価格転嫁が顕著だった。中東情勢が長引けば、さらなる物価上昇が続く見通しだった。
政府の姿勢と限界
政府は「便乗値上げは徹底的に取り締まる」と強調したが、価格統制には限界もある。根本的な原油高・輸送費増加という外部要因を抑えることはできず、コスト転嫁を完全には防げない。業者側からは「値上げしないと採算が取れない」という声も上がった。
商務省の対応は消費者保護のための重要な措置だが、中東情勢の長期化次第で物価高への対応はより難しくなる状況だった。