タイ政府が進めるサイバー犯罪と越境犯罪の取り締まりが、具体的な成果を上げている。タイ警察によると、技術を使った犯罪の件数は前年から半減し、被害額も6割以上減ったという。アヌティン首相は対策を統括する委員会を主導し、詐欺グループの一掃に向けて体制を強化している。
サイバー犯罪が34,478件から16,920件へ
アヌティン首相は6月5日、政府庁舎でサイバー犯罪・越境犯罪の対策委員会の会合を開いた。示された成果によると、技術を使った犯罪の件数は3万4,478件から1万6,920件へと減り、50.9%の減少となった。被害額も22億2,400万バーツ(約108億円)から5億1,300万バーツ(約25億円)へと、63.2%減った(2025年7月から2026年5月までのデータ)。短期間でこれだけ件数と被害が減ったのは、政府が各機関に取り締まりの強化を指示してきた結果だとしている。
スキャマー摘発1,494件、被害者808人を救済
詐欺グループ(スキャマー)の摘発も進んでいる。2025年10月から2026年5月26日までに、詐欺ネットワークに関わる1,494件を摘発し、5,700万バーツ(約2億8,000万円)を超える現金を押収した。さらに、被害に遭った808人を救済したという。タイでは近年、ミャンマー国境地帯などを拠点とするオンライン詐欺や、タイ人名義を使った外国人の事業(ナミニー)が社会問題となっており、これらを重点的に取り締まってきた。
首相主導で5つの専門委員会を設置
アヌティン首相は、越境犯罪に対応するため、新たに5つの専門の小委員会を設けた。安全保障、法の執行、金融、資金洗浄(マネーロンダリング)、サイバー脅威といった分野ごとに、関係機関が連携して対応する体制を整えるものである。首相は、各機関が献身的に取り組んできたことに謝意を示し、国民の生命と財産を守るため、今後も一体となって取り締まりを続ける考えを示した。
被害は減っても警戒は続く
件数と被害額が大きく減ったとはいえ、オンライン詐欺の手口は巧妙化を続けており、警戒を緩められる状況ではない。偽の投資話やなりすまし、SNSを通じた勧誘など、被害は外国人や在住者にも及びうる。タイ政府が成果を強調する一方で、利用者一人ひとりが不審な連絡やうまい話に注意を払うことが、引き続き重要となる。