タイの工業省工場局(DIW)が、アユタヤ県パチにある違法な倉庫から、有毒な化学廃棄物7,500トン超を撤去する作業を終えた。費用は約5,400万バーツ(約2億6,000万円)。当局は、不法投棄を繰り返してきた業者のネットワークを摘発しており、撤去にかかった費用は、汚染した側に請求して「税金を一円残らず取り戻す」方針だ。各地に放置された有毒廃棄物は、火災や水質汚染を引き起こす深刻な問題となっており、当局は取り締まりを強めている。
違法倉庫から7,500トンの有毒廃棄物
工場局は、サラブリ県ケンコイの工業団地周辺で不法投棄を行っていた「エクウタイ」と呼ばれるネットワークの摘発を進めてきた。その一環として、アユタヤ県パチの違法な倉庫に放置されていた化学廃棄物7,500トン超の撤去を完了した。
この種の倉庫には、強い酸性の溶剤や、正体の分からない化学物質が詰め込まれていることが多い。適切に処理されないまま放置されれば、土壌や地下水に染み出して周辺を汚染し、引火すれば有毒な煙を出す火災につながる危険もある。
「汚染した者に払わせる」
撤去には約5,400万バーツの公費が投じられた。当局は、この費用を不法投棄に関わった業者から回収する構えだ。担当者は、損害を国に取り戻し、税金を一円たりとも無駄にしないという強い姿勢を示している。
不法投棄業者の手口は巧妙だ。古い工場の許可証を買い取りながら、実際には許可された事業を行わず、廃棄物を捨てるための隠れ蓑にしていた例もあるとされる。書類の上ではきちんとした事業者に見せかけ、裏で有害な廃棄物を不法に処理する。こうした構図が、摘発を難しくしてきた。
後を絶たない有毒廃棄物の不法投棄
タイでは、工業廃棄物や電子廃棄物の不法投棄が、長年の深刻な環境問題となっている。各地で違法な倉庫や埋め立て地が見つかり、中には数万トン規模の廃棄物が地中に埋められていた例もある。輸入された廃棄物が絡むケースも多く、当局はこの1年で、不法な廃棄物を積んだ700個を超えるコンテナを押収したとされる。
こうした有毒廃棄物は、近隣住民の健康や、農作物、水源を脅かす。過去には、放置された化学物質の倉庫が火災を起こし、住民が避難を迫られたり、有害な煙が広い範囲に流れたりする事態も起きてきた。今回の撤去と費用請求は、汚染した者に責任を負わせる「汚染者負担」の原則をどこまで徹底できるかという、タイの環境行政の試金石ともなる。