タイのパタヤで、借金の取り立て電話が警察署に殺到するという、笑うに笑えない騒ぎが起きた。借金を抱えた人物が、取り立て業者に対し、自分の電話番号の代わりにパタヤ市警察署の番号を教えていたためだ。3日間で200件を超える電話がかかり、対応に追われた警察官の動画が、SNSで同情を集めている。
警察署に殺到した200件の取立て電話
問題を起こしたのは、借金の返済を逃れようとしていた人物とみられる。この人物は、ムアンパタヤ警察署の業務用スマートフォンの番号を、取り立て業者に自分の連絡先として伝えていた。その結果、業者からの電話が、本人ではなく警察署に次々とかかってくることになった。
警察官は、かかってくる番号を着信拒否にしようとしたが、業者は次々と別の番号を使ってかけ直してきたという。ただでさえ、一回の勤務で20件ほどの交通の事故や、30件ほどの酔っ払いや問題を起こす人への対応に追われるなかでの出来事で、現場の負担は大きかった。
「警察だ」と言っても信じてもらえず
電話をかけてきたのは、貸金業を名乗る相手だった。応対した警察官の一人は「こちらは警察だと伝えても、信じてもらえなかった」と漏らしている。相手はタイ語を話したが、なまりから近隣国の出身とみられ、国境を越えた取り立ての電話だった可能性もある。
パタヤ署の責任者は、この電話の殺到が警察の正規の業務を妨げたと認めた。警察は、番号を教えた人物に対して法的な措置を取る方針だという。困った末の行動だったのかもしれないが、公共の機関を巻き込んだことの責任は問われることになる。
背景にある闇金の取り立て
この騒ぎの裏には、タイで深刻な、闇金や違法な貸金業による取り立ての問題がある。タイでは家計の借金が国内総生産(GDP)に迫る水準まで膨らんでおり、正規の融資を受けられない人が違法な貸金業に手を出してしまう例が後を絶たない。スマートフォンのアプリを使った手軽な貸し付けも広がり、法外な金利や個人情報をたてにした取り立てが社会問題になっている。
当局は摘発を進めているが、業者が国境の外から電話をかけてくる場合も多く、根絶は容易ではない。今回の出来事は、SNS上では自分も警察に転送したいといった冗談まじりの反応も呼び、業者の取り立ての激しさを改めて浮き彫りにした。笑い話のようでいて、その根っこには、借金に苦しむ人々の切実な現実が横たわっている。