メコン川の重金属汚染をめぐり、タイ政府は最近の水質検査の結果が「安全基準の範囲内」だったと発表した。在タイ中国大使館もこの問題に言及し、調査への協力と友好的な解決を表明している。一方で、上流での鉱山開発による汚染への懸念は根強く残っている。
タイ政府「検査結果は安全基準内」、中国大使館も言及
タイ政府は、メコン川の水質検査の結果が安全基準の範囲内にあると説明した。在タイ中国大使館も5月31日、フェイスブックでこの問題について投稿し、汚染の調査を支持したうえで、生態系と環境を守るために友好的に協力していく姿勢を示した。
上流の鉱山開発が汚染源か
ただ、メコン川とその支流では、深刻な重金属汚染が報告されている。タイの公害管理局は4月、メコン本流などで初めて危険な水準のヒ素を検出したと公表した。専門家は、ミャンマーやラオスの上流で行われている無秩序な希土類(レアアース)などの採掘が、ヒ素や水銀、鉛、カドミウムといった有害物質を川に流し込んでいると指摘する。流域には許可を受けていない鉱山が800か所を超えるとの調査もある。
コック川では魚に異常、健康と食への懸念
チェンライなどを流れる支流のコック川では、腫瘍のような膨らみや変色した体表をもつ魚が見つかっている。ヒ素や水銀などの重金属は、長く体に取り込むとがんや臓器障害のリスクを高め、とくに子どもや妊婦への影響が心配される。タイは魚や農産物の一大産地でもあり、汚染が食の安全や輸出に及ぼす影響も懸念されている。
「安全」と「懸念」の間で
今回のタイ政府による「安全基準内」という説明と、これまで報告されてきた深刻な汚染との間には、受け止めに開きもある。国境を越えて流れるメコン川の汚染は、一国だけでは解決できない。上流国との協力と、継続的で透明性のある水質の監視が求められている。





