ラオス中部サイソンボン県の洞窟で、金を探して入った男性7人が鉄砲水に閉じ込められた事故で、5月29日夜、最初の生存者1人が救出された。閉じ込めから10日目の生還である。洞窟の奥では先に5人の生存が確認されており、残る人々の救出作業と、行方不明となっている2人の捜索が続く。隣国タイからもレスキューダイバーが入り、2018年のタムルアン洞窟救出を彷彿とさせる救出劇となっている。
金を探して入った洞窟が、鉄砲水でふさがれた
事故が起きたのは5月19日である。サイソンボン県の山中にある洞窟に、7人の男性が足を踏み入れた。報道によれば、彼らの目的は金だった。この一帯では金を求めて洞窟に立ち入る住民が後を絶たず、当局は危険だとして繰り返し立ち入りを警告していたという。
だが、その警告が現実のものとなる。同じ日、激しい雨が鉄砲水を引き起こし、洞窟の出口をふさいだ。7人は暗闇の地中に閉じ込められ、水位は刻一刻と上昇していった。外部との連絡は絶たれ、彼らはそのまま1週間以上を洞窟の奥で過ごすことになった。
5人の生存確認から、10日目の救出へ
最初の朗報は5月27日に届いた。捜索を続けていた救助隊が、洞窟の奥で5人が生きているのを発見したのである。映像には、水に囲まれた岩の上に座り、それぞれヘッドランプを身につけた5人の姿が記録されていた。発見された5人は、自分たちが今どこにいるのかも分からないほど混乱していたものの、命に別状はない状態だったという。
それから2日後の5月29日午後8時40分ごろ、5人のうち最初の1人がついに洞窟の外へと運び出された。救出の瞬間をとらえた映像には、ヘッドランプをつけたまま、ひどく衰弱した様子で救助隊員に支えられながら出てくる男性の姿が映っている。閉じ込めから、実に10日が経過していた。
タイのレスキューダイバーと「タムルアンの経験」
今回の救出には、国境を越えたダイバーたちが当たっている。タイの民間レスキューダイバーも現場に入り、タイの救助団体はSNSを通じて作業の進捗を発信し続けてきた。先に報じたとおり、タイの救助隊は水位上昇と闘いながら生存者の元へと前進を続けてきた経緯がある。
主要なダイバーの一人として名前が挙がるのが、2018年にタイ北部チェンライで起きたタムルアン洞窟の救出に参加したミッコ・パーシ氏だ。タムルアンでは、地元サッカー少年団の少年12人とコーチが2週間以上にわたって閉じ込められ、最終的に全員が生還した。世界中が固唾をのんで見守ったあの救出劇の経験者が、今回もラオスの洞窟で潜っている。
過酷を極める洞窟内の潜水
救出が難航しているのは、洞窟内の潜水が極めて危険だからである。パーシ氏によれば、生存者のいる場所までの往復には片道およそ2時間、合わせて4時間ほどを要する。実際に水中を潜る区間は15分ほどだが、その難易度が桁外れに高い。狭く入り組んだ通路を進むダイバーたちは、膝や肘を擦りむきながら少しずつ前進したという。
水をポンプでくみ出して水位を下げる案も検討された。しかし、深く水没した区間があるため効果は疑問視され、救助隊はダイバーによる搬出を軸に作業を進めている。生存者を安全に運び出すため、5月28日にはスキューバ装備を使った訓練も試みられた。
残る生存者と、行方不明の2人
最初の1人が無事に救出された一方で、生存が確認された残りの人々は、なお洞窟の中で救出の順番を待っている。報道によれば、彼らはこの日もう一晩を地中で過ごすことになるとみられる。加えて、当初閉じ込められた7人のうち2人は依然として行方が分かっておらず、その捜索は翌日も続けられる予定だ。
洞窟に閉じ込められた人々を国際的なダイバーチームが一人ずつ救い出していく。その光景は、タイの人々にとって2018年のタムルアンの記憶と分かちがたく結びついている。あのときの「全員生還」という奇跡を、隣国ラオスでの今回の救出がたどることができるのか。地中に残された人々の一刻も早い生還に、国境を越えた祈りが注がれている。