タイのエネルギー省の摘発チームが、基準を満たさない粗悪なバイオディーゼル約520万リットルを差し押さえた。サムットプラカン県にある石油貯蔵施設で見つかったもので、アーントーン県の別の施設とのつながりも指摘されている。事案は中央捜査局(CIB)に送られ、立件される見通しである。
サムットプラカンの石油施設で520万リットルを差し押さえ
差し押さえの舞台となったのは、首都近郊サムットプラカン県にある石油会社トリプルS・ペトロリアムの貯蔵施設である。当局は5つの貯蔵タンクから、バイオディーゼルの原料であるB100の検体を5点採取して品質を調べた。その結果、基準を満たさない粗悪な燃料が大量に保管されていたことが分かったとされる。
押収量は約520万リットルにのぼる。この施設はアーントーン県にある別の石油貯蔵施設ともつながりがあるとみられ、当局は供給ルート全体を視野に入れて調べを進めている。集められた証拠はCIBに引き継がれ、関係者の刑事責任が問われることになる。
エネルギー相の摘発チームによる全国点検
今回の差し押さえを指示したのは、エネルギー相のエーカナット・プロムパン氏である。同氏のもとに置かれた特別摘発チームが、4月から全国の石油貯蔵施設を対象に立ち入り点検を広げてきた。今回のサムットプラカンの事案も、その一環として浮上したものだ。
エネルギー相は、違法行為が見つかれば例外なく厳正に処分する方針を繰り返し強調している。石油の貯蔵や流通の現場に踏み込み、不正な燃料が市場に出回るのを断つ狙いがある。
粗悪なバイオディーゼルが出回ると何が起きるか
タイで販売される軽油の多くは、バイオディーゼルを7%混ぜたB7と呼ばれる規格である。その原料となるB100の品質が基準を満たしていなければ、できあがった軽油全体の品質も下がってしまう。
粗悪な燃料はエンジンの不調や故障を招くおそれがあり、結果として車やトラックを使う利用者が損を被ることになる。価格を抑えるために基準外の安い原料を混ぜる不正は見た目では分かりにくく、それだけに流通段階での点検が物を言う。
相次ぐ燃料不正の摘発
タイでは近年、燃料をめぐる不正の摘発が相次いでいる。今回の粗悪バイオディーゼルとは別に、海上で大量の燃料が荷下ろしされ、約5,700万リットルが行方不明になったとされる事案も調査が進んでいる。密輸や脱税、品質のごまかしなど、手口はさまざまである。
燃料は物流や生活のコストに直結するだけに、不正が広がれば最終的に価格や品質という形で消費者に跳ね返る。エネルギー省が貯蔵施設の点検を全国規模で続けている背景には、こうした構造への危機感がある。
