タイ警察庁(สำนักงานตำรวจแห่งชาติ / RTP)長官のキティラット・パンペート大将(พล.ต.อ.กิตติ์รัฐ พันธุ์เพ็ชร์)が2026年5月26日、警察制服着用時の警察官の行動に関する緊急通達(หนังสือด่วนที่สุด)を発出した。SNS・公共メディアで警察官が「インフルエンサー」として活動するケースが急増しており、制服や髪型がだらしないと組織の信頼性が低下するという問題意識から、警察庁規定2023年(พ.ศ. 2566)の厳格遵守と不適切な姿勢・動作の回避を求めた。タイ警察官のTikTok・Facebook・Instagram上での自己宣伝活動が広く行われている現状で、組織イメージのブランド管理を意識した新たな統制策となる。
5/26、タイ警察長官が緊急通達を発出
通達の概要は以下の通り。
- 発出日: 2026年5月26日
- 発出者: 警察庁長官キティラット・パンペート大将(พล.ต.อ.กิตติ์รัฐ พันธุ์เพ็ชร์)
- 通達名: 警察制服着用時の警察官の適切な行動について
- 区分: 緊急通達(หนังสือด่วนที่สุด)
- 宛先: 副警察長官、警察補佐官、警察監査官、各管区長、各部隊長
緊急通達は通常、警察庁内部で迅速対応を要する事案に発出される。今回の通達がこの区分に分類された点に、警察上層部の問題意識の強さが示されている。
通達の背景、SNSインフルエンサー警官の急増
タイでは近年、警察官が自身のSNSアカウントでフォロワー数十万〜数百万人を抱える「警察インフルエンサー」として活動するケースが増加。具体的には以下のような事例が挙げられる。
- TikTokで警察制服姿でダンス動画を投稿
- Facebook・Instagramでパトロール風景や訓練動画を公開
- YouTubeで警察官のライフスタイル動画を発信
- 警察組織の広報活動の一環としてのインフルエンサー活動
これらの活動は、警察と国民の距離を縮め、警察組織の透明性を高める一方、制服が乱れていたり、不適切な姿勢で映ったりすると、組織全体のイメージダウンに繋がるリスクがある。
規制の中身、2023年規定の厳格遵守
通達で要求されているのは、警察庁規定2023年(พ.ศ. 2566)の以下の規定を厳守すること。
特に「不適切な姿勢を見せない(หลีกเลี่ยงการแสดงท่าทางที่ไม่เหมาะสม)」という表現が通達に明記されており、SNS動画での演出的なポーズ・ダンス・コミカルな動作などが暗に規制対象となっている。
タイ警察のインフルエンサー文化、社会の二面性
タイ警察によるSNS活用は、世界の警察組織の中でも特徴的な部分がある。主な特徴は以下の通り。
しかし、その自由度の高さが裏目に出るケースもあり、過去には以下のような事例が問題視されてきた。
- 制服姿でのコスプレ的な投稿
- 警察活動中に撮影した動画の不適切性
- パートナー・家族との私的動画の投稿
- 政治的・宗教的メッセージの発信
今回の通達は、こうした「グレーゾーン」を整理する意味合いを持つ。
警察庁規定2023年とは、何をどこまで定めているのか
警察庁規定2023年(พ.ศ. 2566 / 2023年仏暦規定)は、警察官の制服・身だしなみ・行動規範を定めた基本規則。具体的には以下の内容を含む。
- 制服の種類別の着用ルール(完全装備、執務制服、儀礼制服、訓練制服等)
- 身だしなみ規定(髪型、ひげ、装飾品、化粧)
- 公共空間での行動規範(姿勢、態度、応対)
- 内部・対外コミュニケーションのルール
- 違反時の懲戒処分基準
これら規定は、警察組織の伝統と現代の社会要求を統合した内容で、SNS時代の警察官像を意識した部分も含まれている。
違反時の処分、内部懲戒の対象に
通達違反が確認された場合の処分は、以下の段階で進められる。
- 上司による注意・指導
- 機関内での懲戒委員会の判断
- 管理職への報告
- 重大な場合は減給・降格・転任
- 極端な場合は懲戒解雇
ただし、初期段階では「指導・教育」が中心で、即座に厳しい処分とはならない模様。警察庁の意図は、「規制」より「組織文化の改善」に重きを置く方針。
SNS時代の警察ブランディング、世界各国との比較
警察組織のSNS活用は世界中で進んでいるが、各国でアプローチが異なる。
- 米国: 各警察署のSNSアカウントが中心、個人警察官の発信は制限
- 英国: 警察組織のブランディングを重視、画一的な情報発信
- 日本: 警視庁・各都道府県警察の公式SNSが中心、個人発信は少ない
- 韓国: 国家警察庁の公式チャンネルが主力
- タイ: 個人警察官のSNS活動が広く認められる稀な例
タイの「自由な警察SNS文化」は、国民との距離感を縮める利点がある一方、組織全体の統制が難しい弱点もある。今回の通達は、その弱点を補強する措置と位置づけられる。
アヌティン政権の治安・行政改革、警察組織への注目
アヌティン政権下では、警察組織の改革が継続的に議論されている。特に以下の点で改革が進んでいる。
今回のSNS活動規制も、その文脈の一環。警察の信頼回復のためには、組織全体の品位を保ちつつ、開かれた組織であることをアピールする必要があり、今回の通達はそのバランス調整となる。
警察インフルエンサーの一例、今後のスタイル変化
タイで知名度の高い警察インフルエンサーは、Facebook・TikTok・YouTubeなどで数万〜数百万のフォロワーを持つ。今回の通達で、彼らのSNSコンテンツのスタイルにも変化が予想される。




