日本の大手自動車メーカー・ホンダが2026年3月期の年間決算で、純損失403億3千万円(一部報道では4,033億円相当、約26億ドル)の赤字に転落した。上場企業として約70年ぶり初の年間赤字で、米国市場の関税障壁とEV事業の大規模評価減(1.6兆円)が直撃した形だ。タイにとってホンダは2位の生産台数(ピックアップ販売Q1ランキング2位、新車登録Q1の2位)を誇る主要ブランドで、本社決算の悪化はタイ現地法人の戦略にも影響しうる。在タイ日本人の自動車メーカー駐在員にとっても、勤務先の事業環境を理解する重要な材料となる決算発表だ。
上場企業として70年ぶりの年間赤字
ホンダは1948年に創業、上場企業として約70年の歴史を持つ。これまで年間決算で赤字を計上したことはなく、今回の2026年3月期決算が初めての年間損失となる歴史的な転換点だ。Thairathなどタイの英字メディアが日本本社の発表を引用する形で報じた。
純損失403億3千万円、米国関税の直撃
ホンダの2026年3月期の純損失は403億3千万円(公式発表ベース)。米ドル換算で約26億ドルに相当する。最大の要因はトランプ政権による米国の自動車関税政策の変更で、米国向け輸出に対する関税障壁が一気に上がった結果、ホンダの米国市場での収益性が悪化した。
1.6兆円のEV事業評価減
もう一つの大きな要因は、EV(電気自動車)事業の大規模評価減だ。ホンダはEV関連の事業資産・開発投資を1.6兆円(約100億ドル)規模で減損処理した。これは、米国政府が「EV購入者向け7,500ドル税控除」を廃止し、排出規制も大きく緩和した政策転換に対応したもので、ホンダだけでなく他の世界的自動車メーカーもEV戦略を後退させる流れの中で発生した会計上の処理だ。
EVシフトの再調整、グローバル自動車メーカーの動き
ホンダの今回の赤字は、米国政策の急変によりEVシフトの前提が崩れたことを示すデータだ。米国市場では、EV購入のインセンティブ消失とガソリン車・ハイブリッド車優遇への揺り戻しが進む。トヨタ、日産、マツダ、スバルなど他の日系メーカーも同様の構造的圧力を受けており、EV投資の見直しと、より柔軟な動力源戦略への転換が世界的に進む可能性が高い。
タイ市場でのホンダの位置
タイ市場におけるホンダは、ピックアップトラック販売(2026年Q1)で17,994台のトヨタ・ハイラックスTravo/Revoに次ぐ2位(22,619台ではなくこれは別ジャンル)。新車登録全体(2026年Q1)では22,619台で2位、シェア11.3%を占める。タイにおけるホンダの中核車種はCity・Civic・HR-V・CR-V・Accord・PCX等。タイ現地でも生産・輸出を行っており、本社の決算悪化が現地工場の運営・新車戦略にどう波及するかは、今後の続報で見える化される。
在タイ日本人駐在員家庭への含意
ホンダ・タイランドに勤務する駐在員や、ホンダ系一次・二次サプライヤーの現地スタッフにとって、本社決算の歴史的赤字は事業環境の大きな転換を意味する。タイで購入したホンダ車のメンテナンス・部品供給は当面影響がないが、新車戦略・人員配置・現地パートナーシップの見直しなどで、長期的な変化が起きうる。タイ自動車工業10協会の連名提言(EV補助金EV 3.5終了後の保護政策要請)と並行して、ホンダ・タイランドがどう動くかが、業界全体の指標になる。