タイ運輸省のシリポン・アンカスクン副大臣は2026年5月12日、運輸業者の電気自動車(EV)化を支援する200億バーツ(約920億円)規模の支援パッケージを同月内に閣議に上程すると表明した。7つの主要運輸業者グループを対象に、頭金補助・金利半額補助・年次自動車税0%減税・EV購入またはリース促進策を組み合わせた包括的な制度設計となる。
支援対象の7業種
支援対象となるのは、長距離バス、タクシー(含むGrabなどのライドシェア)、配送・宅配業者、三輪タクシー(トゥクトゥク)、省間ミニバン(VIPバン)、農業輸送車両、オートバイ便の7カテゴリーだ。これらはディーゼルまたはガソリンへの依存度が高く、2026年の燃料危機で特に打撃を受けた業種だ。
財源となる4,000億バーツ借入勅令
副大臣は財源として「王勅令による4,000億バーツ借入枠組み」の活用を言及した。タイ政府は中東紛争による経済への影響に対処するため、2026年に特別の国債発行・借入を可能にする勅令を布告しており、この資金をEV支援に充当する計画だ。200億バーツはその枠組みの一部として拠出される。
公共バン廃止とミニバス移行
今回の発表で同時に注目されたのは、公共バン(รถตู้โดยสารสาธารณะ、いわゆる乗合ミニバン)を廃止してミニバス(มินิบัส)に移行させる方針だ。
公共バンはトヨタ・ハイエースなどの乗合ワゴン車で、主に省間を結ぶ重要な交通手段だ。しかし過積載・スピード超過による重大交通事故が繰り返し起きており、2024〜2025年にもバンの大事故が全国で複数発生した。ミニバスへの移行は安全性の向上と環境対応を同時に進める意図がある。
タイのEV普及と日本車への影響
タイの自動車市場では2025年以降、中国系EVメーカー(BYD、AION、Neta等)の攻勢が続いており、日本車の市場シェアが急低下している。政府主導のEV支援はこの流れをさらに加速させる可能性がある。
運輸業者向けのEVとしては、小型商用EVやEVトラックが候補に挙がる。しかし日本の商用車(トヨタ・ハイエース等)のEV版が未発売なため、中国製EVの採用が進む可能性が高い。




