ナコンラチャシマー県(コラート)の医師が2026年、認知症の危険信号となる6つの早期症状と、診断から治療までの「7つの法」を解説し、タイ国内で大きな反響を呼んだ。タイでは65歳以上の高齢者人口が急増しており、認知症患者数はすでに65万人以上と推計されている。
医師が挙げた6つの認知症の危険信号は次のとおりだ。繰り返し同じ話をする・同じことを聞く、日常の道具(電話・鍵・財布など)をどこに置いたか忘れる、日付・時間・場所の感覚が崩れる、以前できた趣味や仕事ができなくなる、人付き合いへの関心が薄れる・引きこもる、気分や性格の変化(怒りやすくなる・疑り深くなるなど)の6点だ。
「7つの法(7-Step Protocol)」はタイ保健省が推奨する早期対応の枠組みで、症状に気づく段階から専門医受診・診断確定・薬物療法・介護計画・家族支援・地域コミュニティへの連携までのステップを体系化したものだ。
タイの高齢化は急速で、2025年の65歳以上人口比率は約13%(国家統計局)に達した。日本(約28%)と比べるとまだ低いが、増加スピードはアジアで最も速い部類に入る。農村部では子どもが都市に出稼ぎに出て高齢者が一人暮らしをするケースが多く、認知症の早期発見を担う仕組みが整っていない地域も多い。
日本では要介護・要支援認定制度のもとで認知症患者への公的介護サービスが整備されているが、タイでは民間施設と家族介護が中心だ。タイ政府は2023年に「国家認知症アクションプラン」を策定し、地域の保健センター(อสม.)を活用したスクリーニングの普及に取り組んでいる。タイのコミュニティナース(อสม.)は約100万人おり、農村部での認知症早期発見の鍵を握る存在だ。


