タイ東北部ロイ県のテッサバン・ムアン公営質屋が5月1日から6月30日まで、「教科書時期の親支援キャンペーン」を実施している。予算7,000万バーツを投入し、新学期に集中する制服・教科書・授業料などの出費を抱える保護者を対象に低金利貸付を提供する。忙しい日には1日約300件の取引があり、担保物の約95%が金製ジュエリーだという。
借入金額別の金利体系
金利は借入額に応じて3段階に設定されている。1,000〜5,000バーツの少額借入は最初の3か月が月0.25%(年率3%相当)で、4か月目以降は月0.50%に上がる。5,000〜10,000バーツは最初3か月が月0.75%、以降1.00%。10,000バーツ以上は一律月1.00%だ。民間の質屋が月1.5〜2%を取るのと比べると、半分から3分の1の低金利といえる。
5〜6月に集中するタイの教育費
タイの公立学校の新学期は5月中旬から始まる。制服代(小学生1着400〜600バーツ、中学生600〜800バーツで複数枚必要)、教科書代(1学年あたり3,000〜5,000バーツ)、給食費・交通費が一度にかかる。複数の子を持つ家庭では2〜3万バーツの一時的な出費が集中する。公立学校は授業料無料だが、実際には制服や教材費の負担は避けられない。
「家庭の保険」としての金製品
担保の95%が金製ジュエリーという数字は、タイ社会での金の位置づけを反映する。タイでは結婚・出産・誕生日の贈り物に金製品が使われ、緊急時に換金できる「家庭の保険」として機能してきた。質屋に金製品を持ち込んで短期資金を調達する慣行は、銀行ローンにアクセスしにくい庶民層に広く根付いており、バンコクや地方都市に約300の公営質屋がある。期限を超過した場合は担保物が公売に付される。
農業中心のロイ県は人口約63万人で、平均世帯所得は月約2万バーツとされる。7,000万バーツという予算規模は、地方都市の質屋としては異例の手当てで、教育費が家計に与える圧力の大きさを示している。

