タイ商務省国際貿易振興局(DITP)は2026年5月、中国・ラオス鉄道を使ったドリアン輸送の現状を詳細に報告した。タイ・バンコクを出発してラオスのビエンチャン経由で中国雲南省のクンミンに到着するまでわずか26時間。そこからさらに中国内の鉄道・航空ネットワークで48時間以内に中国30省・自治区に配達できるようになったという内容だ。
中国・ラオス鉄道は2021年12月に正式開通したインフラ事業で、中国側の延長1000キロ超の区間と合わせて昆明(クンミン)からタイ国境まで物流が一気に繋がった。2024年4月には中国鉄路クンミン局が全デジタル通関システムを導入し、1列車分の書類処理時間が40分から10分に短縮された。さらにタイ側でも国際貿易の通関手続き電子化が進み、双方向のロジスティクスがスムーズになってきた。
タイのドリアン輸出は年間約1700〜1900億バーツ規模(タイ商務省2024〜2025年)で、9割以上が中国向けだ。チェンマイ・チャンタブリー・ラヨーンが主要産地で、中国消費者はタイ産「ムサン・キング」種(猫山王)を特に好む。生鮮ドリアンは温度管理が重要で、輸送時間の短縮は品質保持に直結する。
以前は主にトラックや空輸に頼っており、トラック輸送では3〜5日かかることも多く、夏季の高温下での品質劣化が課題だった。鉄道コンテナ輸送は冷蔵管理が安定しており、輸送コストも航空比で大幅に削減できる。
タイ政府はドリアン産業のサプライチェーン強化を国策として推進しており、産地の農家から輸出業者まで一貫した品質管理システムの構築を目指している。日本へのドリアン輸出は現時点でまだ小規模だが、タイ産ドリアンの品質・輸送技術の向上は将来的な日本向け生鮮市場の拡大にもつながりうる。
