カリウントと呼ばれるバンコク都心のラーマ9世周辺地区に本院を構えるラーマ病院(マヒドン大学医学部附属病院)が、2026年5月に25階建ての「スマートホスピタル」建設契約を締結した。現在の病院棟は建設から60年が経過して老朽化しており、2031年の完成を目標に抜本的な施設刷新が行われる。
新施設の規模は外来250万人・年間対応、入院1000床・年間5万5000件に対応するタイ最大級のスマートホスピタルだ。ラーマ病院はマヒドン大学の教育・研究拠点でもあり、年間950人の医学生を輩出する。新病棟はAIによる診断支援・電子カルテの完全統合・IoTによる院内管理・ロボット薬剤師・幹細胞製造工場なども含む最先端設備を導入する予定だ。
タイの医療水準は東南アジアで相対的に高く、バンコクの私立病院は国際認定(JCI)を取得した施設もある。しかし公立病院は設備の老朽化と医師・看護師不足が課題で、ラーマ病院のような国立教育病院も例外ではない。新施設は教育・診療・研究を一体化した「ワンストップ医療拠点」として機能することが期待される。
今回の建設はタイ政府の「ウェルネスハブ」政策とも連動している。外国人患者のタイへの医療ツーリズムを誘致するために、国際水準の医療インフラを拡充する方針だ。タイには年間200万人以上の医療ツーリズム目的の外国人が訪れており(タイ保健省2024年推計)、その受け皿となる施設の整備は国家的な優先事項だ。
日本人のタイ医療利用は特に私立病院の緊急受診で多く、バンコクのBumrungrad・Bangkok・Samitivej各病院は日本語通訳・日本人専用窓口を整備している。ラーマ病院の新施設完成後は、国立病院としての外国人受け入れ能力も向上する見込みだ。
