タイの人気歌手ケン・タチャイ(เก่ง ธชย、本名:タチャイ・スパレット)が2026年5月12日、バンコクのザ・スコソルホテルで開かれた「Bangkok Pride Festival 2026」のプレス発表会で、約10年前に著名な仏教寺院で受けたナーナトン(นะหน้าทอง、額に金を書く儀式)の体験を告白した。儀式の場で「服を全部脱ぐよう命じられ、性器にペンで文字を書かれた」という内容が波紋を広げた。
ケン・タチャイの証言
ケン・タチャイは有名な仏教寺院で行われた呪術的な儀式の際に、主宰者から衣服を脱ぐよう求められたと語った。儀式の参加者が全員その場にいる状況で、性器を含む体に文字やシンボルが書き込まれた。
当時は信者として信じて参加したが、今振り返ると「おかしいと感じながらも逆らえなかった」と述べた。この発言は宗教的権威を利用した身体的な強要ともとれる内容として、SNSで大きく取り上げられた。
ナーナトンとは
「นะหน้าทอง(ナーナトン)」は「黄金の顔のナ」を意味するタイの呪術的な儀式だ。「ナ(นะ)」は聖なる文字で、タイの呪術では額や体に聖なる文字を書くことで幸運や護符の力を与えると信じられている。
正当な仏教僧が行う場合もあるが、素性の不確かな「霊媒師」や「呪術師」が実施するケースもある。儀式の内容は主宰者によって異なり、一部で不適切な行為が伴うケースが報告されてきた。
LGBTQと宗教の交差点
ケン・タチャイが発言の場に選んだのはBangkok Pride Festival(6月のプライド月間)に先立つイベントだった。彼自身のセクシュアリティとの関係は直接明かされていないが、「LGBTQ+宗教」という繊細なテーマと絡めての発言だったため、「自分のアイデンティティを持つ人が宗教的権威に搾取される構造」への問題提起として受け取られた。
タイ社会の反応
SNSでは「よく語ってくれた」という支持の声と「宗教への冒涜だ」という批判が交錯した。タイは仏教が根付いた国だが、宗教的権威者による性的または身体的な不正行為が時折表面化しており、その告発が歓迎される社会的な変化もある。



