レクサスがタイ市場向けに、100%電気自動車のフルサイズSUV「TZ BEV」を投入する。3列シート7人乗りのプレミアム仕様で、95.8kWhの大容量バッテリーで航続距離590km(WLTP基準)、DC急速充電150kWに対応。ツインモーターによる408馬力の駆動力と、レクサス独自の4輪駆動システム「DIRECT4」を組み合わせた、タイのプレミアムEV市場をターゲットにしたモデル。
95.8kWhバッテリー+ツインモーター408馬力の駆動性能
TZ BEVの中核スペックは、容量95.8kWhのリチウムイオンバッテリーパック。WLTP基準の航続距離は590kmとされ、バンコクからチェンマイ手前まで(約700km)の道のりはほぼ1日で踏破できる計算となる。郊外+高速の複合走行であれば、実際の航続もカタログ値に近い水準が期待できる。
駆動はツインモーター構成で総出力408馬力。フルサイズSUVクラスとしてはトップレベルのパワーで、車重2,630kgの大柄な車体を低速から高速まで余裕でカバーする。タイの渋滞路から地方の長距離移動まで、駆動の余裕が運転疲労の低減に直結する。
3列7人乗りのプレミアムキャビンと寸法
ボディ寸法は全長5,100mm、全幅1,990mm、全高1,705mm、ホイールベース3,050mm。3列シート7人乗りの構成で、家族・親族で乗ることが多いタイの家族文化に親和的なパッケージング。空気抵抗係数Cd値は0.27と、フルサイズSUVとしては良好な数値で、高速巡航時の電費に貢献する。
キャビンはレクサスの伝統的なプレミアムインテリアを踏襲。革素材・木目調・最新インフォテインメントを組み合わせ、タイの富裕層・上級駐在員クラスをターゲットに据えた設計となっている。3列目シートも単なる補助席ではなく、長時間移動でも実用的なスペースが確保される。
4輪駆動DIRECT4と急速充電150kW対応
駆動系の要は、レクサス独自の4輪駆動制御「DIRECT4」。前後のトルク配分を路面状況・運転状況に応じて100:0から0:100まで瞬時に変更する仕組みで、ドライ路面では効率重視の前輪寄り、雨天・高負荷ではグリップ重視の四輪駆動に近い配分に切り替わる。タイの雨季の急な豪雨でも、滑りやすい路面でのトラクションを確保しやすい。
充電性能はDC急速充電150kWに対応。タイ国内で急速に拡大中のEV充電網(PTT、EA、Tesla Supercharger等)で、ピーク出力に近い充電速度を活用すれば、20-80%の充電が30分台で完了する見込み。長距離移動の中継ポイントでの充電休憩を短くできる。
タイ市場での日本車EV戦略における位置付け
タイのEV市場は、中国系BYD・MG、米国系Teslaが先行する一方、日本車陣営では電動化の本格展開が遅れ気味だった。レクサスTZ BEVのフルサイズプレミアムEV投入は、トヨタグループとしてタイの高所得層・法人需要に向けて本気で電動化に取り組む姿勢を示すモデルとなる。
在タイ日本人駐在員の家族向けに、安全性・乗り心地・サービスサポートで日本車を選ぶ層は依然として根強い。TZ BEVは、これまでガソリン・ディーゼルのSUVを選んでいた家族層が次の買い替えで電動化を検討する際の、有力な選択肢として位置付けられる。価格・保守ネットワーク・タイ国内での売り方の詳細は、追って公式発表が待たれる。