タイ南部のパッタルン県地方自治体(PAO)が5月5日、燃料に課している地方税の徴収を90日間停止すると発表した。施行は明日5月6日からで、対象期間中は燃料1リットル当たり4.54サタン(0.0454バーツ)の地方税が0サタンとなる。中東情勢の悪化による燃料高の家計圧迫に対する、地方自治体レベルの独自緩和策である。
発表したのはヴィスット・タムペット県PAO首長で、午前10時30分にパッタルン県PAO議会場で記者会見を開いた。クルテダー・ペットウォン県PAO議会議長、パッタルン県商業相、エネルギー部長、地元のガソリンスタンド事業者、メディアが参列するという、地元商工業界を巻き込んだ正式な発表会となった。
ヴィスット首長は、中東地域の不安定な情勢が世界の燃料価格を押し上げ、タイ国内の物価と運送コストにも波及していると説明した。生活費の上昇が地方住民に広範な影響を及ぼしているため、PAOとして打てる手段で住民の負担を軽減することにしたと述べた。
今回の措置の背景には地方間の連携がある。南部14県のPAOで構成する連盟が、地域住民の負担緩和に向けた共通方針を協議し、その提案を全国PAO協会に上げて承認を受けた。協会は各県の事情に応じて適宜の対応を取ることを認めたため、パッタルン県は地方税徴収条例(燃料売買税)を改正し、税率を従来の4.54サタンから0.00サタンに変更する形を取った。
中央政府がエネルギー危機対応のために4000億バーツの緊急借入勅令を承認するなど大規模な中央集権的対応を進めるなか、地方自治体が独自に減税で応じる動きは珍しい。リットル当たりの減税幅自体は4.54サタンと小さいが、90日間の累積額や、他県への波及効果を考えると、地方分権下での自治体独自対応のひな形になり得る。