タイ南部ヤラー県ベートン市の公益質屋に、新学期前の家計逼迫を背景に金や職人工具を持ち込む保護者が殺到している。受入件数は通常から70%増、流動資金は22Mバーツ(約9,800万円)規模に達した。市質屋マネージャーのヌーリヤ・サメー氏が5月5日に明らかにした。
ベートン地区の新学期は5月13日から16日にかけて始まる。教科書、制服、文具、給食費、通学費と保護者の出費は一気に膨らみ、現金繰りに窮した家計が金融機関の代わりに公益質屋に流れ込んでいる。来店者数は1日あたり100〜200人で推移する。
持ち込まれる質草で目立つのが純金製品と職人用工具である。家庭に眠る装飾用の金、自営の職人が普段使っている道具まで現金化の対象になっている。総量は把握できないとしつつ、買取・受入額の総計から逆算しても重量は1万バーツ単位を大きく超えるとマネージャーは説明している。
公益質屋側も負担緩和に動いた。元金5,000〜10,000バーツの少額案件について、最初の3ヶ月分の利息を特別に引き下げ、家計のキャッシュフロー圧迫を抑える措置を取っている。地方自治体傘下の質屋という立場上、民間業者よりも条件を譲歩できる余地があり、この期間限定の救済措置として打ち出した格好だ。
タイの開校期は4月の家計支出を一気に押し上げる時期として知られ、保護者の経済負担軽減策は教育省も保護者負担軽減策を打ち出すするなど中央政府レベルでも問題化している。地方の現場では公益質屋という別ルートで現金化が進む実態が浮かぶ。1バーツ約4.4円換算で22Mバーツは約9,680万円規模となり、人口5万人台の地方都市で1〜2週間に集中する金額としては小さくない。
