バンコク都知事シャチャート・シティパン氏が2026年5月5日、BMA庁舎で記者会見し、市内全機関に対して「Rainbomb」(3時間継続豪雨)への対応準備を指示した。同時にSNSで拡散している「2030年にBKKが水没する」噂についても言及し、チャオプラヤ川沿いに整備された洪水堤防88kmで短期的には対応可能との見方を示した。長期的には温暖化リスク世界9位の都市として、政府レベルの戦略策定が必要と表明した。
ネット上で拡散している噂の中身は、温暖化による海面上昇でチャオプラヤ川河口から海水が逆流してBKKが水没する、BKK地盤が年2-3cm沈下している、といった内容。シャチャート知事はこれに対し、「水がどこから来るのか」と問題を切り分けた。チャオプラヤ川由来の洪水であれば、BKK は両岸88kmにわたって+2.80m~+3.5m(平均海面比)の高さの洪水堤防を整備済みで、満潮の影響は4-5年は限定的だと反論した。
ただし、長期的なリスクは認めている。BKKは温暖化リスクの世界都市ランキングで9位という指摘があり、これは10-20年スパンで考えれば現実的な脅威だ。シャチャート知事は「これは政府レベルの計画にも組み込まれるべき」と述べ、地方自治体の対応だけでは不十分との認識を示した。BKKの地盤沈下、海面上昇、極端豪雨の3要素を統合的に扱う長期戦略が必要となる。
短期の即時対応として「Rainbomb」対策が指示された。Rainbombとは3時間以上継続する局地的豪雨を指し、近年バンコクでも頻発している。BMA配下の各局(排水・道路交通・公衆衛生・廃棄物管理など)に対し、排水ポンプの稼働状況確認、雨水管・運河の浚渫、低地区域の浸水対策・避難経路確保、災害情報のSNS即時発信などを準備するよう指示が出された。
在タイ日本人にとっての関連は深い。バンコクのスクンビット・サトーン・トンロー・エカマイ・シーロムなど駐在員集中エリアは、地形上低地が多く豪雨時の浸水・冠水・交通麻痺が頻発する。気象局は5月初旬の45県警戒予報を継続発出しており、5月中旬以降の本格雨季入りに向けて、家庭内の浸水対策(ドアシール、家具の高所配置、緊急用品の準備)を進めるべき時期となっている。
並行して、BKK周辺地域ではチャチェンサオで河岸擁壁が崩壊し家屋が川に落下する事例や、ロイエットで5分の暴風が住宅51軒を被害した事例など、雨季入り前からの異常気象被害が報じられている。シャチャート知事の今回の指示は、BKK圏でも同種被害を未然に防ぐ準備として位置づけられる。