タイのエコニット・ニティタンプラパース副首相兼財務相は5月5日午前、政府庁舎で記者会見し、同日の閣議で総額4000億バーツ(約1.76兆円)の緊急借入を可能にする王令(緊急勅令)を承認したと発表した。中東情勢を背景にしたエネルギー危機への対応とエネルギー転換促進を目的とし、5月14日に国会で審議する。
王令は財務省に対して4000億バーツの借入権限を付与する内容で、財務省提案を内閣が了承した形となる。エコニット財務相は、国民の生活コスト危機への対応は緊急性を要し、中東を発端とした世界的な影響であるため、回避不能な緊急事態として通常の予算措置ではなく緊急王令での対応を選択したと説明した。
借入金の用途のうち2000億バーツは脆弱層支援に充てる。残り2000億バーツはエネルギー転換関連の事業に振り向ける構成で、家計の直接救済とエネルギー構造の中長期見直しを並走させる枠組みとなっている。
スケジュール面では、5月14日の国会で王令の追認手続きが行われる。各プロジェクトは9月30日までに審査委員会の承認を経る必要があり、借入で得た資金の執行期限は2027年9月30日に設定された。3財政年度をまたぐ長期執行となり、計画変更や追加事業のリスクを抑える狙いがあると見られる。
法的根拠は、憲法第172条が定める緊急性が認められる場合の王令発出規定と、2018年制定の財政規律法第53条である。通常の予算外で大型借入を実施するため、両規定の要件を満たすことを政府は強調した。
5月3日に内閣は週内審議に向け閣議入りした。週末を挟んで5月5日の閣議で正式承認に至った形で、5月14日の国会上程までの段取りが今回の発表で明確になった。