タイ政府は5月5日の内閣で、2030年ユースオリンピックゲームの開催地立候補を撤回することを決定した。スラサック・パンチャルーンウォラクン観光・スポーツ相が同日発表した。最終候補3カ国に残っていたが、開催に必要な50億バーツの予算確保が現状の経済財政事情では困難と判断したと説明している。
タイは2030年ユース五輪の招致活動で、IOCの最終選考でチリ、パラグアイと並ぶ3カ国の最終候補に残っていた。前週にはIOC代表団が来訪してタイ側の準備状況を視察したばかりで、招致レースは終盤に差し掛かった段階だった。
5月5日の内閣で慎重に協議した結果、現在の経済・財政状況では開催準備を進める余裕がないと結論付けた。総額50億バーツに上る開催予算の手当てが現実的でないことが決定的な要因となった。スラサック観光相は、IOCに対して予算面での準備不足を率直に伝えると述べ、来週予定されていた開催準備保証文書の提出は見送る方針を明らかにした。
撤回の背景には、政府が同時並行で進めるエネルギー危機対応の財政負担がある。スラサック観光相は「現政権はエネルギー危機対応と国民救済のために緊急王令で借入を行わざるを得ない局面にある。同時に大規模国際大会を運営する予算的余裕はない」と説明した。アヌティン首相とも事前に協議のうえで判断したという。
5月5日の内閣ではほかにも、財務省に4000億バーツ借入を認める緊急王令を承認している。借入金の半分はエネルギー転換、残り半分は弱者支援に向けられる予定で、5月14日に国会で審議される。財政の優先順位を国際スポーツ大会よりも国民の生活コスト対応に振り向ける姿勢を、内閣として明確に示した形となった。