タイのアヌティン・チャンウィーラクン首相が2027年度予算方針を発表した。総予算枠は3.78兆バーツ(約16兆円)で、中東情勢など世界の変動を意識した無駄削減が柱である。建物建設予算を削って賃貸に切り替え、公用車をEV化する方針で、予算総額抑制と環境対応を同時に進める姿勢が鮮明になった。
Khaosodによると、アヌティン首相は4月20日午前10時10分、インパクト・ムアントンターニのロイヤル・ジュビリー・ボールルームで2027年度予算編成の方針会議を主宰した。予算総額は3.78兆バーツ(正確には3,780,000百万バーツ)で、中東戦争・エネルギー安全保障・世界経済の不確実性を織り込んだ運営である。
首相は「世界情勢の激しい変動の中で、政府は適応のリーダーシップを発揮する必要がある」と述べ、少ない資源でより効率的な運営を求めた。ゼロベース予算(Zero-Based Budgeting)の概念を導入し、前年踏襲をやめて個別項目を精査する手法を採用する。
削減対象の筆頭が「建物建設費」である。政府機関は新規の庁舎建設を抑制し、既存民間建物の賃貸に切り替える方向で動く。大規模な土地取得と建築コストを回避し、必要なスペースだけを柔軟に使う方針だ。
公用車については全面的にEV(電気自動車)化を指示した。政府系機関の車両は内燃機関からEVへ順次置き換える。タイ国内のEV市場(BYD、Tesla、韓国系、日本系メーカー)に大口需要が生まれる可能性があり、業界への影響も大きい。
一方、武器購入予算は維持する方針である。「国家主権の保護に必要な装備は確保する」と首相は明言した。国境地帯の警備強化、中東情勢を踏まえた防衛力の維持が背景にある。
2027年度予算は政府の「10 Plus」政策を実現する手段として位置づけられている。燃料補助、農業支援、教育デジタル化、医療拡充などが柱で、各省庁は予算申請で「政策との整合性」を示す必要がある。
在タイ日本人にとって、政府の予算運営はインフラ整備・税制・社会保険制度に間接的に影響する。特に公用車のEV化は民間のEV普及にも波及し、バンコクの大気環境改善にも寄与する可能性がある。EV充電設備の公的・民間での拡充も、駐在員の車生活に変化をもたらす局面である。