バンコクから南部に伸びる主要幹線ラマ2号線の工事完了時期が、また延期された。運輸省は燃料と建設資材の高騰を理由に、完了予定を2027年中頃までずらすと発表した。50年以上続く工事と死亡事故の連鎖で「永遠に終わらない道路」と揶揄される現場に、また一つ遅延が加わった形である。
The Thaigerによると、運輸省の4月20日発表で完了予定が2027年中頃に後ろ倒しになった。燃料価格の高騰と建設資材コストの上昇が、入札参加業者の利益を圧迫し、工程の維持が困難になったのが理由である。
ラマ2号線はバンコク都心から南下し、サムットサーコーン、サムットソンクラーム、ペッチャブリー、さらに南部のホアヒン・プラチュアプキーリーカン方面に伸びる主要幹線である。日本人駐在員にとってもホアヒン出張・家族旅行・南部工場への通勤で日常的に使うルートだ。
工事は1976年頃から段階的に行われてきたが、拡幅・高架化・盛土・橋梁追加などの工程が50年近く続いている。区間ごとに工事が発注・発注解除を繰り返し、「いつ完成するか誰も答えられない道路」と呼ばれてきた。
住民とドライバーへの影響も深刻である。工事車両の往来、重機のクレーン落下、建設足場の倒壊など、数々の死亡事故が報告されてきた。2026年4月17日にも駅舎の屋根崩壊(コラート駅)と同じくラマ2号線での建設事故関連の報道があり、安全面での懸念は根強い。
燃料高騰の影響は工事全般に及ぶ。アスファルト原料は原油から派生する石油化学製品で、原油価格の上下が建設コストに直接響く。今回の延期は中東情勢による原油の高止まりが、タイのインフラ整備にも波及している事例として注目される。
タイ政府は5000億バーツの緊急借入政令を検討する状況で、財政的には余裕がない。運輸省は「2027年中頃で確実に完了させる」との姿勢を示すが、過去の遅延歴を考えると、業界関係者と市民の間には懐疑論もある。
在タイ日本人で南部方面のドライブを計画する場合、工事区間の混雑と時間読みの難しさは依然として続く。南部へのアクセスは陸路以外に国内線・列車も選択肢で、工事期間中は航空便・鉄道の併用が現実的である。