タイ政府が導入した燃料価格補助策について、トラン県のバイクタクシーとトゥクトゥク(フアコップ形式)のドライバーから不満の声が上がっている。補助の対象が「運輸事業として正規登録された車両」に限られ、収入減で黄色ナンバーを維持できなくなった小規模ドライバーが制度から漏れる構造だ。
Khaosodによると、トラン県のバイクタクシードライバーたちと、タイ南部特有の「フアコップ」(カエル頭型)トゥクトゥクのドライバーが運輸局の補助金登録で「対象外」となった。補助策は中東情勢による燃料価格高騰の影響を和らげる目的だが、末端の小規模ドライバーには届いていない。
バイクタクシー歴30年のスートン・ヌンシー氏は事情を説明する。以前は黄色ナンバー(営業用)に登録していたが、近年はGrabなどのアプリ配車サービスが大量に参入し、市場競争が激化した。収入が減って営業用の税金を払えなくなり、白ナンバー(一般車)に変更して経費を削減した経緯がある。
しかし今回の補助策は「営業用登録車」のみが対象である。経済的理由で白ナンバーに切り替えざるを得なかったドライバーが、制度の谷間に落ちる形となった。アプリ配車運転手も同様の立場にある。
スートン氏の要求は明快だ。「補助金制度より、ガソリン価格そのものを下げてほしい」「値上がりは6バーツ単位なのに、値下げは数サタンずつしかない」と、価格調整の非対称性を批判する。警察署ごとのバイクタクシー名簿に載っているドライバーに、特別枠の補助を出すことも提案した。
タイの地方都市では、バイクタクシーとトゥクトゥクは公共交通の一翼を担う存在である。バスや鉄道の網が薄い地域で、住民の通勤・通学・買い物の足として機能してきた。このドライバー層の経営難は、地方の移動困難にも波及するリスクがある。
アプリ配車との競争は世界的な課題でもある。タイ政府はGrabやRobinhood等のプラットフォーマーに対する規制と、既存の営業用車両への支援の両立を求められる局面に入った。
在タイ日本人にとっても、地方出張や観光でバイクタクシー・トゥクトゥクを利用する場面は多い。今回の小規模ドライバーの訴えは、タイ社会の下支え層の経済的脆弱性を示す事例として記憶しておきたい。