タイ食品医薬品局(FDA)は5月5日、表示と異なる魚種を使用した疑いのある缶詰の製造元を調査し、工場と販売店から計13,010缶を差押えたと発表した。サバ(マッカレル)表示の缶詰に淡水魚ティラピアが使われた疑いで、製造工場ではGMP(食品製造良好基準)不合格も判明した。
きっかけは一般消費者のSNS投稿だった。Facebookユーザーの「Tao Somchai Ngai」が、購入した缶詰の中身がラベル表示のサバとは見た目が異なると動画付きで指摘した。投稿は後にメーカーから補償を受け、リコール対応も進んだことから削除されたが、規制当局として調査を最後まで実施する必要があるとして、FDAが調査に着手した。
検査対象となった工場はサムットサコン県ムアン郡ガーロン地区に所在する。FDAはサムットサコン県保健事務所(สสจ.)と連携し、製造現場と完成品を抜き打ちで点検した。結果、施設はGMP基準を満たしておらず、報道で取り上げられたブランド以外の製品にも別魚種混入が確認された。
差押え数量は工場保管分で12,760缶、市場流通分で250缶の計13,010缶に上る。FDAは該当ブランドと、同じ工場で生産された別ブランド製品もすべてリコール対象に指定し、流通市場からの引き上げを業者に命じた。
FDAのスパッタラ・ブンサーム事務局長は、消費者保護と食品安全水準の維持のため、最後まで責任を追及していく方針を示した。GMP不合格に偽装疑いが重なれば重い処分が科される可能性があり、調査の本格化はサプライチェーン全体に波及しそうだ。
タイの食品偽装はSNS投稿が告発の起点になるケースが増えている。今回も一般消費者の指摘から数日で大規模リコールに発展しており、消費者の警戒感とFDAの動きの速さが連動した形となっている。