タイ南部クラビ県の地方寺院で火葬師を務めていた70歳の男性が殺害された。遺体は200リットルのプラスチック製ドラム缶に詰められ、約20キロ離れた森林に運ばれたうえで酸が散布されて証拠隠滅が図られていた。
警察の調べによると、被害者は寺院の農園に建てられた作業小屋(タイ語でขนำ)の中で木製の棒状の凶器で頭部を強打されて殺害された。即死に近い状態だったとみられる。犯人グループはその後、遺体を200リットルのプラスチックドラム缶に押し込み、車両に積んで約20キロの距離を移動させて山林に遺棄した。さらに腐敗を早めて証拠を隠滅するため、遺体に酸性の液体を散布した。
警察は遺体の重量と移動距離から、複数人の関与なしに実行は困難と判断し、複数犯説で捜査を進めている。遺体のドラム缶運搬と遠方への移動には少なくとも2〜3人が必要で、計画的な犯行の可能性が高い。被害者と犯人の関係、金銭・土地・怨恨など動機の解明が急がれている。
タイでは火葬師は寺院に属する専門職で、遺体の管理と火葬の儀式を担う。仏教国タイでは死者への扱いを重視する文化があり、火葬師は一定の社会的地位を持つ。一方で農村部では日常的に地元の人間関係の中に組み込まれており、土地や金銭をめぐるトラブルが発展して事件になるケースも過去にある。
クラビ県はプーケットの北隣に位置するタイ南部の有名観光地で、観光業が主要産業だ。今回の事件はクラビ県内陸部の農村地帯で起きており、観光地とは別の側面を示している。警察は容疑者の特定を急いでいる。
