タイ警察が2026年5月3日、ライダー服を着てサムットサコン県のショッピングモール内金店「ヤワラート・クルンテープ」を5月1日夜に襲撃して金製品23バーツ(重量、約160万バーツ相当)を奪った単独犯を、北部ナーン県(ラオス国境近く)で逮捕した。逃走を手伝った元囚人の男も身柄を確保しており、首都圏から800キロメートル以上離れた山岳地帯まで逃走を続けていた構図が明らかになった。
事件は5月1日午後7時40分、サムットサコン県メアン郡コークカム区のショッピングモール内で発生した。身長約170センチのフード付きライダー服姿の男が、自動式拳銃で店員を脅したうえショーケースを飛び越えて金製品23バーツを奪い、店外に走り去った。被害額は約160万バーツ(約700万円)。
警察によれば、犯人は事件後にバンコク首都圏を抜け、北部山岳地帯のナーン県へ約800キロメートル北上して潜伏。逃走の手助けをしたのは過去に有罪判決を受けた元囚人の男で、移動経路の手配と隠れ場所の確保を担っていた疑いがあるという。サムットサコン警察、犯罪捜査局(CIB)、ナーン県警察の合同捜査で2人の身柄が確保された。
ライダー姿という変装は、タイの主要都市で日常的に見られるフードデリバリー配達員の景観に紛れる手口で、商業施設に出入りしても警戒されにくい死角を突くものだ。今回のケースでは犯行から逮捕まで約2日間で完了し、押収された金製品の一部回収と、共犯者・買取業者・バイク調達経路など犯罪インフラの解明が次の焦点となる。
タイでは2026年に入ってから金価格の高止まりを背景に金店強盗が散発しており、4月末にはコラートで中国人2人による金店強盗、その2日後にバンコクで2人逮捕が報じられている。今回のケースもライダー服変装+元囚人の逃走支援+遠距離移動という組織的犯罪の典型パターンを踏襲する。
在タイ日本人にとって、ショッピングモール内の金店は両替・贈答・小遣い稼ぎなどで利用機会も多い。ライダー姿の不審人物への警戒や、夜間営業時間帯の周辺動線確認は、店舗側だけでなく利用者側にも改めて意識される事案だ。タイの金店業界としても、変装パターン拡散への対策(顔認証カメラ、入店時の覆面検知など)を見直す動きが今後広がる可能性がある。