タイ中部チャチェンサオ県ムアン郡バーンマイ町第2集落のワット・サーイチョン・ナ・ランシー寺前バンパコン川岸で2026年5月3日午後3時半頃、護岸の擁壁が突如崩壊した。同所に隣接する63歳家主ウィトゥン氏の住宅と隣接のバイク修理店が、川岸から30m以上先の河中まで一気に滑り落ちた。チャチェンサオ救助隊が通報を受けて急行、行政当局と連携した現場対応にあたったが、家主と住民は貴重品の搬出が間に合わず大半を失う事態となった。
ウィトゥン氏は記者団にこう振り返った。「事故発生時、自宅にも修理店にも誰もいなかった。突然コンクリートのきしむ大きな音が何度か響き、その後コンクリートの床が裂け始めるのが見えた。中の貴重品を取りに行こうとしたが、間に合わなかった。あまりに早かった」。きしむ音の終わりとともに護岸全体が一気にバンパコン川へ滑り落ち、ワット・サーイチョン寺前の堤防が崩落した形だ。
ウィトゥン氏自身が指摘した崩壊原因は、2日前に同地域で発生した豪雨だ。「擁壁裏の土が雨水を含んで緩み、コンクリート床下の地盤が沈下したのではないか」と推測している。タイは現在4月末からの雨季入りと猛暑の混在期で、北部・中部で局地的な雷雨と強風が頻発。気象局は5月初旬の段階で、北部・東北部の45県を雷雨警戒地域に指定していた。
被害現場の隣接施設はワット・サーイチョン・ナ・ランシー寺で、住職プラ・マハー・ウィナイ・キッティパンヨー師も現場確認に入った。寺院敷地そのものへの直接的な構造被害は限定的とみられるが、川岸沿いの土砂流出が続く場合、参道や付近の建造物への二次的影響が懸念される。
バンパコン川(แม่น้ำบางปะกง)はタイ東部を流れる主要河川で、チャチェンサオ・チョンブリー・プラチンブリー各県を貫流してタイ湾へ注ぐ。流域には住宅地・寺院・商業施設が密集し、河岸沿いに護岸付きで建てられた住居は珍しくない。今回の事案は雨季入り初期に擁壁崩壊が起きた典型例として、河岸沿い住居の安全性見直しを地域社会に突きつける形となった。
在タイ日本人にとっては、バンコク郊外のチャチェンサオ県は週末ドライブやワット・サーイチョン寺などの寺院巡り、サニサウン市場(タイで最大級の卸売市場)訪問の目的地として馴染み深いエリア。河岸沿いに建つレストラン・カフェ・宿泊施設を選ぶ際は、雨季を経た後のコンクリート擁壁の状態(亀裂・傾き・地盤沈下の兆候)を確認することが安全につながる。地元当局の地盤調査結果と擁壁補修工事の進捗、同種リスクが疑われる隣接住宅の避難対応は今後の続報を待つ展開となる。