タイ東部プラチンブリ県ナディ郡トゥンポー村クロンディンデーン地区で2026年5月2日午後6時頃、タプラン国立公園周辺の竹林で警戒任務中のボランティア「ティラチャイ・ガームサン氏」が野生象2頭に襲撃されて死亡した。連れていた犬の鳴き声が休息中だった象を起こし、追われて逃げ切れなかったとみられる。同夜21時40分に第1保護地区管理事務所所長ヨッワッ・ティエンサワット氏らが現場を確認した。
事件はトゥンポー象警戒・追い払い緊急対応隊(チュッ・クルアンティー・ルア)の一員として活動していたボランティア警戒員に降りかかった。プラワッシリャー・チャンタープ・タプラン国立公園長から第1保護地区管理事務所への報告を受け、ナディ郡長ソムジャイ・プッタセナ氏、ナディ警察のアロンコーン・プカマ警視正、サッチャ・プッタタム財団救助隊(カビンブリ郡)が現場に急行した。
現場は保護林に隣接する竹林とゴム園の境界(座標47P 816884E 1562201N)で、警察と公園関係者は犬の鳴き声で休息中の象が呼び覚まされ、その後の興奮状態で人間を追跡した可能性を指摘している。象は短時間で時速30キロ以上で走るため、平地で人間が逃げ切るのは困難とされる。
タプラン国立公園は世界遺産「ドンパヤイェン-カオヤイ森林群」の一部で、約2200平方キロメートルの広大な保護林を擁する。タイで象が住む主要保護地区の一つだが、近年は森林の縮小と農地拡大、観光客の増加で人間と象の接触機会が増え、襲撃事故が散発的に報告されている。タイ国立公園局はボランティア警戒員を組織化して象の追い払い・農地進入防止活動を行ってきたが、警戒員自身が被害に遭うケースは少なくない。
直近では2026年2月にカオヤイ国立公園でも野生象による観光客死亡事故が起きており、タイの野生象保護と人間活動のバランスは引き続き難題となっている。
在タイ日本人にとっても、カオヤイ・タプラン・カオサムロイヨートなど象が生息する国立公園を訪れる際は、ガイド付きツアー以外の早朝・夜間活動を控える、犬を伴わない、車両から不用意に降りないなどの基本対策が重要となる。今回の事案は、保護活動に協力する地元ボランティアの安全確保という別の難題も同時に提起している。