バンコク都庁(BMA)のジャクパン・ピウガム副市長が2026年5月2日、ノーンクハイム区にある「廃棄物焼却発電プロジェクト」を視察し、工事進捗が実績93.71%・計画比94.43%に達したと発表した。同プロジェクトは1日1000トン以上の廃棄物を焼却して発電する大型施設で、5月1日からは試運転用の廃棄物受入を開始した。完成は2569年(2026年)以内を目標としている。
受入能力は1日あたり1600トン、最大蓄積容量は24000トンで、首都圏の人口集中エリアから出る生ごみ・可燃ゴミの大半を吸収できる規模だ。発電された電力はタイ電力公社(EGAT)と首都電力公社(MEA)に供給される計画で、廃棄物処理と電力供給の二重の役割を果たす。施工は中国系企業のC&G Environmental Protection (Thailand) Co., Ltd.が担当している。
副市長視察では、廃棄物受入溝、ゴミクレーン制御室、運転制御室を順に確認した。具体的な工事内容は、廃棄物搬送橋の建設、嫌気性排水処理タンク、循環水処理システム、本館建設(スリップフォーム工法によるゴミピット高さ拡張)、ボイラー2基の設置、EGAT用高圧変電所、衛生・消防・電気・通信などのインフラ、MEAによる送電線など多岐にわたる。
異臭・周辺環境への配慮として、ゴミ運搬車の出入口には2層扉が設置され、車両の通行時のみ開閉する仕組みになっている。BMA副市長は施工会社に対して、近隣住民への悪臭被害防止の徹底と、運搬車の後退時の安全確保(後尾接近警報システム設置、作業員の安全装備)などを改めて指示した。
バンコクは1日約1万トンの廃棄物を排出する東南アジア有数の大都市で、これまで埋立処理が中心だったが、用地不足と環境負荷から焼却+発電方式への転換が進められている。ノーンクハイムの新プロジェクトはその主要な柱の1つで、稼働すればBMAの廃棄物処理コスト削減と電力収入の獲得を同時に実現できる。
在タイ日本人にとっても、バンコク都心部のゴミ収集サービスの安定性と、長期的な電気料金への波及(廃棄物発電による供給拡大)は生活に関わる話題だ。同様の発電所はバンコク内の他区にも展開が検討されており、首都圏のゴミと電力の構造が今後数年で大きく変わる可能性がある。