タイ東北部ブリラム県パーカム郡で、2026年5月1日夕方の激しい雷雨の最中に雷が3回連続で落雷し、66歳の女性飼い主シヤーム氏(同町テッサバン町議会議員)の牛舎に直撃した。繁殖用母牛2頭が即死し、飼い主は「直前まで牛の首に付けていた真鍮と銀製の鈴2個を、首から外して牛舎の木柱に吊るしておいた。これが雷を呼び込んだのではないか」と振り返り、他の農家にも金属の鈴を首から外す習慣の見直しを呼びかけた。
事故が起きたのは午後4時過ぎから天候が荒れ始め、激しい雷雨に変わった時間帯だ。シヤーム氏の息子ピヤウット氏は雨が強まる前に牛を水飲み場へ連れて行き、急いで牛舎に戻して自宅に帰った。直後に雷雨が本格化し、3回続いた雷鳴の1つが牛舎に落ちた。シヤーム氏は雷鳴は聞いていたが自分の牛舎に落ちたとは知らず、雨が小降りになってから様子を見に行ったところ、繁殖用母牛2頭が並んで横たわって絶命していた。
シヤーム氏は「ここ2-3日は不眠が続き、睡眠薬を飲んでも眠れなかった。今日こんなことが起きるとは思わなかった。2頭とも繁殖用の大切な牛だった」と肩を落とした。死んだ牛は他の農場主が買い取り、肉として再販される予定だ。
息子のピヤウット氏は「真鍮と銀の鈴2個を牛の首から外して、牛舎内の木柱にかけてあった。これが落雷の原因になった可能性がある」と説明し、農家に金属の鈴を首から外しっぱなしにしたり高い場所に吊るしたりしないよう注意を呼びかけた。「今回の教訓を踏まえ、家の鈴は埋めて、もう牛には付けない」と話している。
科学的には金属物体が雷を直接引き寄せるわけではないが、高い位置にある導電体は周辺の電界を強め、放電経路となる「ステップリーダー」の到達点を変える可能性がある。木造の牛舎で柱の上部に金属物が吊るされていた場合、近くに雷が落ちた際の電流経路に影響を与えやすい。
タイは5月から雨季に入り、雷雨と落雷が頻発する季節となる。東北部・北部の農村では家畜への落雷被害が毎年発生しており、保険でカバーされない場合の経済的打撃は大きい。気象局は雷雨警報の発令時には金属物に近づかない、屋外作業を中止する、家畜は早めに低い場所の囲いに収容するよう注意を呼びかけている。在住者にとっても、ゴルフ場・郊外居住・家庭菜園など屋外で過ごす機会が増える時期に向けて改めて基本的な落雷対策を確認したい。