タイのサイバー犯罪捜査局(บช.สอท.)が2026年4月28日午後9時頃、バンコク市ドーンクワノン地区のダオクワノン市場付近で、クルマに偽基地局を積んで走り回りフィッシングSMSをばら撒いていた中国人2人を現行犯逮捕した。1台で3万件以上の番号にSMSを送れる偽基地局がバンコクの街中を走っていたことになる。
押収されたのは「False Base Station(偽基地局)」と呼ばれる装置1台、スマートフォン2台、移動に使った白色のBYD車両。偽基地局は本物の通信キャリアの基地局を装って近隣のスマホに電波を飛ばし、本物の電波より強い信号で接続を奪う。接続を奪った瞬間にキャリアの認証を経ずSMSを直接スマホに押し込めるため、銀行や宅配業者を装ったフィッシングSMSが「公式番号」のように見せかけて届く仕組みだ。電波を奪われている間は通話や通信ができなくなる。
警察は2026年3月11日にバンコク市内の混雑エリアで異常な無線信号を検知して以来、約1か月半にわたり信号源を追尾していた。容疑者2人は46歳と64歳の中国人で、共犯の中国人1人は逃走中。捜査の過程で偽基地局を載せた車両がアジアティーク周辺やフワイクワン地区など、観光客や住民の集まる場所を中心に巡回していたことも分かっている。
容疑者には無線通信機器の無許可製造・輸入・販売、無許可の無線局設置などタイ無線通信法違反が適用される見通しだ。タイでは2024年以降、コールセンター詐欺(แก๊งคอลเซนเตอร์)の手口が電話勧誘から「偽基地局を積んだ車両でSMSを物理的に押し込む」方式に進化しており、警察は同種の車両摘発を全国で進めている。被害金額は今回の発表時点では明らかにされていないが、1台で30,000番号超に届く規模を考えると、ばら撒かれた件数は逮捕までに膨大な数にのぼる可能性が高い。
在タイ日本人にとっては「いきなり電波が弱くなり、その直後に銀行や運送業者を装うSMSが届く」現象が偽基地局通過のサインになる。タイ警察と通信キャリア(AIS、True、NT)はSMS内のリンクをタップしないこと、心当たりのない着信SMSのリンクを開かないことを呼びかけている。