タイ・スリン県チョーンプラ郡にある寺院で2026年4月26日、夏休み出家中の修行僧侶4名が9歳の少年を集団で殴り、タバコの火を体に押し付けて脅迫する事件が起きた。事件の様子を撮影した動画がSNSで拡散して批判が殺到し、寺院側は加害僧侶4名を還俗(ラーシッカー)処分にした。被害少年の母親は警察に告訴し、捜査が始まっている。
事件は寺院隣接の田んぼで発生した。少年は以前この寺院で短期間出家したのち還俗していた近所の子で、4月26日に田んぼで魚捕りをしていた際、夏休み出家の修行僧侶らと遭遇したという。場所は寺外だったが、寺院の敷地管理責任エリア内で、加害者は集団で少年に殴る蹴るの暴行を加え、タバコの火を身体に押し当てる行為に及んだ。
寺院の主管職代理コーラパポン・カンタウィーロ僧侶は記者の取材に対し、被害児童の保護者が動画を持って寺院を訪れたことを認めた。「事件の事実を確認した時点で、加害僧侶4名を僧侶身分から還俗させた。これは僧侶法上の処分。世俗の刑事事件としては警察の対応に委ねる」と説明している。寺院は世俗管理委員会と協議し、被害児童の心のケアを含めた支援を進める方針だ。
警察は母親からの告訴を受理し、合同捜査チームを編成。被害児童の事情聴取は、児童保護法に基づくマルチプロフェッショナルチームが対応する形で進められる。被害少年は既に病院から退院しているが、暴行とタバコの火による傷の身体的影響に加え、心理的ケアが今後の重要課題となる。
タイの夏休み出家(短期出家)は、子供から思春期の少年が学校の長期休暇中に寺院で精神修養を行う伝統的な制度で、地域社会と密接に結びついている。一方、僧侶間の上下関係や閉鎖的な環境が、集団によるいじめ・虐待の温床になりうる構造的問題は以前から指摘されてきた。今回の事件は、寺院側が即時に還俗処分を下し透明性を示した点では迅速だが、地域の信頼回復と再発防止には警察捜査の進展と寺院運営の再点検が問われる。