タイの重罪犯を集めるバンコク北部のバンクワン刑務所に収監中の元指名手配犯シアペーン・ナホノート(本名チャオワリット・トンドゥアン)が、4月23日に獄外へ送られた音声クリップの中で不当な扱いを訴えた。同刑務所内の別の受刑者たちは携帯電話やパソコンを使えているのに、自分だけが嫌がらせを受けていると主張している。
シアペーンは強盗罪でパッタルン県裁判所から懲役20年16カ月の刑を言い渡された受刑者。2023年10月22日深夜、ナコンシータマラート県のマハラートナコンシータマラート病院に移送され治療中に、足かせを外して脱走した経歴がある。逃亡先のインドネシアでホテル内の女性に暴行した容疑で現地警察に拘束され、タイに強制送還されてバンクワンに収監された。
今回の音声は複数のクリップに分かれて送信されたとされ、最初のクリップはパッタルン県を担当する記者たちに向けた発信。自身が裁判上の嫌がらせを受け、上告の期限を意図的に逸するよう仕組まれたと主張し、関係当局に公正な対応を求める内容だった。
音声の中で最も衝撃的なのが「刑務官が別の受刑者には携帯電話やパソコンの使用を黙認している」という部分だ。バンクワンは最重警備施設で、タイ国内の刑務所では携帯電話の持ち込みや使用は明確に禁止されている。過去には端末の密輸や内通する看守の摘発も繰り返されてきた経緯があり、主張が事実なら管理体制への打撃は大きい。
シアペーンはタイ南部で幅広い裏社会人脈を持つ人物として知られ、2023年の脱獄後は1カ月以上にわたり山中に潜伏。最終的にはスピードボートで国外に逃亡する手口で国際的な注目を集めた。今回の音声も内部協力者を通じて外に持ち出された可能性が高い。
刑務所側からの公式説明は23日時点で出ておらず、主張の真偽は今後の調査を待つ必要がある。収監中の受刑者が獄中から外部メディア向けに音声を発信したこと自体、施設の監視体制に疑問符がつく形となっている。