タイ中部ナコンサワン市チャムロン・ウィット・パタナー集落のリケ小路で4月22日夕刻に起きた大規模火災で、23日までの現地調査により被害が32軒まで拡大し、影響を受けた住民は80人以上に達していることが確認された。当初の報道では10軒以上とされていたが、延焼の範囲が予想以上に広がっていた形だ。
鎮火作業には最終的に消防ポンプ車30台以上が投入され、狭い路地に入れない区間ではホースを担いだ徒歩部隊が延焼防止線を作って対応した。消火には約3時間を要し、22日夜の段階でようやく火勢を集落の一角に封じ込めたが、それまでに木造の連棟構造を伝う形で次々に家屋が燃え移っていった。
市街地に広がった衝撃のあと、23日には地元テシャバーン(自治体)・レスキュー隊・ナコンサワン警察が再び現場に入り、住民への聞き取りと焼失範囲の正式な計測を進めた。焼け跡で家財を探す被害者の声を拾うと、同じ集落の一画で廃品回収業を営んでいる借家住まいの夫婦がが、自宅内で何か燃やしている最中に引火し、一気に延焼していったのではないかという証言が繰り返し出てきた。
警察は現段階で放火とも過失とも断定していないが、当該夫婦の行方が22日夜以降、現場周辺で確認されていない点を重く見て身柄の確保と聞き取りを急いでいる。廃品回収業者は古新聞・段ボール・プラスチック等の可燃物を大量に抱え込む特性があり、屋内での焼却や溶融処理は安全管理の盲点になりやすい。
被災者向けには、市が仮設の避難所を集落近くに設営し、食料・飲料水・毛布の緊急配布を開始した。タイ災害対策・軽減局(DDPM)は被災世帯に対する応急支援金の申請窓口を案内している。
リケ小路のような木造密集地区は、タイ地方都市のダウンタウンに共通して残る構造で、1軒の出火で街区丸ごとが短時間に焼け落ちるリスクを抱える。電気配線の老朽化や燃料ストーブ、今回のような廃品処分が引き金になる事例はこれまでも繰り返し報告されてきた。
タイ駐在の日本人にとっても、こうしたオールドタウン型の賃貸住居に住む友人・同僚がいる場合は、火災保険の家財補償と近隣避難ルートの確認を勧めたい。ナコンサワンの集落で起きた一件は、バンコクのトロッ(小路)が密集するエリアでもいつでも起こりうる現実として記憶しておきたい。