タイ中部チョンブリ県パタヤで22日午後5時ごろ、インターポール赤手配(RED NOTICE)のかかったトルコ国籍の男が、チョンブリ県入管パタヤ拠点によって身柄を確保された。逮捕された男はアブドゥラー氏(76)で、2023年2月にトルコ南部を襲ったマグニチュード7.7の大地震で倒壊したアダナ県のビル建設の現場監督だった人物だ。
入管捜査員は、協力者からの通報を受けてパタヤ市内のホテルに出向き、宿泊客リストと照合してアブドゥラー容疑者の所在を確認した。入管は王国内滞在許可の取り消し命令と身柄拘束命令を執行し、所轄のノーングプリュ警察署に引き渡した。
2023年2月6日に南部を直撃したトルコ・シリア大地震は、M7.7の本震とM7.5の余震でトルコ10県、シリア北部広範囲を破壊し、正式な死者だけでも5万人を超える被害となった。アダナ県でも多数の集合住宅が倒れ、建設業者への司法捜査が本格的に行われた。
アブドゥラー容疑者が監督していたアダナ県のビルは、当局の事後検証で鉄筋や生コンなど建築資材が法定基準を満たしていなかったと認定され、トルコ本国で逮捕状が発付された。その後、出国して各国に逃亡したため、インターポールを通じた赤手配で国際的な追跡対象となっていた。
今回のケースはタイ入管法第12条(7)に照らして「王国内への入国を許されない者」に該当する、と入管当局は判断。すでに発給されていた滞在許可を取り消すと同時に、身柄を捜査機関に預けた。今後は正式にトルコへの送還手続きが進む見通しだ。
タイは2022年以降、観光と長期滞在ビザの自由度の高さを背景に、欧州・中東の当局から指名手配されている資産家や企業経営者が潜伏するケースが続いている。アダナ県のビル倒壊のような「過失致死を伴う建築基準違反」は、EU諸国でも量刑が重いため、執行を逃れて温暖なパタヤやプーケットに長期滞在するパターンが時折、こうした逮捕劇で表面化する。
タイ在住の日本人にとっても、外国人コミュニティの中には「なんとなく過去を語らない人」が混じっていることを改めて意識させる事件である。今回の赤手配発動は1件だが、観光都市としてのパタヤが抱える裏側の顔を示す出来事として記憶しておきたい。