ケーンクラチャン国立公園長のモンコン・チャイパクディ氏は4月22日、公園内で山火事が5,000ライに拡大し野牛(ガウル)2頭が射殺された事件について、容疑者特定の証拠画像を公開した。容疑者はある郡の行政組織(OBT)議員で、狩り犬とバイク、9粒散弾銃を持ち込んで放火とガウル狩りを行ったとされる。
手口は典型的な密猟スタイルだった。マエカメーイ・バンターセラ(ペッチャブリー県ノーンヤープロン郡ヤーンナームクラッド・ヌーア区)はガウルの採食地で、容疑者はバイクで入域し、狩り犬を先行させて獲物の位置を探った。その後、森の一部に火を放ってガウルを所定の方向に追い込み、待ち伏せ地点で散弾銃を撃って仕留める。今回は「追い込み火」が想定外に拡大し、5,000ライを焼く山火事に発展した。
射殺されたガウル2頭には9粒散弾銃(バックショット)の弾丸が体内に残存しており、すでに回収して検死が進んでいる。公園当局は弾丸サンプルを武器と照合する手続きを進めており、容疑者が所持する銃器との一致が確認できれば、密猟罪と国立公園法違反の併合起訴が可能になる。OBT議員という公職にある人物が絡んだ事件として、政治的にも注目される事案だ。
先に報じたケーンクラチャン国立公園の山火事5,000ライ拡大、ガウル2頭射殺の密猟痕跡を発見が急進展した形になる。1日足らずで公園側が容疑者の画像と手口を具体化できた背景には、防犯カメラ解析と村の目撃情報の組み合わせがあり、警察と公園当局の連携が機能している。
国立公園法違反の密猟罪は最大で懲役5年・罰金50万バーツの対象となる。放火・森林破壊罪はさらに重く、両罪の併合で10年以上の実刑が求められる可能性がある。OBT議員という公職にある人物が絡むと、政党・行政組織内部での政治的影響もあり、事件の捜査は地方政治の透明性にも波及する。
タイの国立公園では「放火で追い込み→待ち伏せ射撃」という密猟手口が繰り返し発生しており、ケーンクラチャンは2021年にユネスコ世界自然遺産に登録されたエリアだけに、国際的な注目度も高い。在タイ日本人のトレッキング・バードウォッチング愛好家にとっても、保護区の生態系を守る取り締まりの強化は歓迎すべき動きと言える。