ペッチャブリー県ケーンクラチャン国立公園で起きている山火事が4月21日時点で5,000ライ(約800ヘクタール)に拡大していることが発表された。さらに火災の延焼エリアで、ガウル(野牛、Bos gaurus)2頭が散弾銃で射殺された死体が発見され、密猟団が証拠隠蔽のために山火事を仕掛けた疑いが浮上している。
公園長モンコン・チャイパクディ氏によると、燃え広がった区域はノーンヤープロン郡ヤーンナームクラッド・ヌーア区のバーン・ヒンコン集落まで到達した。鎮火と延焼防止のため、環境天然資源省のスチャート・チョムクリン大臣が防火線の整備、住民広報、違法な開墾・放火への厳格な法執行を同省に指示した。
密猟の痕跡が見つかったのはマエカメーイ・バンターセラ地区で、撃たれて死んだガウル2頭の遺体を当局が回収、死因確定のために検死を実施している。この区域は山火事の燃え広がり方が不自然で、尾根を越えて別の熱源が突発的に発生しており、自然発火の典型パターンから大きく外れていた。
捜査担当は、ノーンヤープロン郡の密猟団が密猟の証拠を消すために複数箇所で放火した可能性を指摘している。山火事の混乱に紛れて動物の死体を隠す、追跡の足跡を焼き消す、といった常套手段が国立公園で繰り返されており、公園当局と警察は拡大捜査に入った。
ケーンクラチャンはタイ最大級の国立公園で、トラ・ガウル・マレーバク・各種サイチョウなど希少種の宝庫として知られる。2021年にユネスコ世界自然遺産に登録されたエリアでもあり、野生動物の密猟は国際的な注目を集める。過去にも森林官と密猟者の間で死傷事件が発生しており、監視・取締りの強化がたびたび話題になってきた。
4月はタイ全土で乾燥と強風が重なる山火事多発シーズンで、今年は広域で火災と煙害が続いている。先にカンチャナブリ県のエラワン国立公園が山火事とPM2.5超過で一時閉鎖されており、国立公園全般が厳しい状況にある。在タイ日本人の週末トレッキング計画にも、最新の閉園情報の確認は欠かせない。