タイの支払いに人民元しか受け取らないとして話題になったバンコク・フアイクワンの中華料理店について、入国管理局が6月5日に立ち入り検査を行い、近隣の店も含めて不法滞在や不法就労の外国人6人を摘発した。中国人インフルエンサーがSNSで「タイの通貨を受け取らず人民元のみを受け付ける」と指摘したことが発端だった。
入管によると、問題の店はプラチャラートバムペン通りにある「シンシン・ランジョウ・ヌードル」とされる。入国管理局第1課は、雇用局や事業開発局の担当者とともに、この店を含む周辺の飲食店あわせて5店舗を調べた。その結果、不法入国(オーバーステイ)や外国人労働者管理の法令に違反した外国人6人を確認した。話題の店からは、不法滞在の外国人1人と、就労資格に違反した外国人1人が摘発された。店の会社登記についても、事業開発局が引き続き調べている。
入国管理局は、SNSでこの件を把握した直後に捜査員へ調査を指示したとしている。当局は、フアイクワン一帯で関係機関と連携し、外国人による法令違反の摘発を継続する方針を示した。市民に対しては、不法滞在や不法就労の外国人に関する情報があれば、入管のホットライン1178へ通報するよう呼びかけている。
タイでは近年、観光ビザや就労資格を悪用した外国人の不法就労、タイ人名義を使った名義貸し(ナミニー)による事業運営が問題視され、入国管理局や関係省庁が取り締まりを強めている。今回のように、SNS上の告発や話題が摘発のきっかけになる例も増えており、当局は通報を端緒とした調査に力を入れている。
フアイクワンは、近年中国系の住民や事業者が増え、中国語の看板を掲げた店も目立つエリアである。タイ国内での商取引は原則としてタイの通貨であるバーツで行われる必要があり、外貨での決済のみを求める行為には法的な問題も指摘されている。今回の摘発は、SNS上の話題が当局を動かし、店の営業実態にまで踏み込む形となった。