タイ東北部カラシン県の著名な僧侶ルアンプー・シラ・シリチャントー(プラテープワチラタンマソーポン、81歳)が、長年にわたって住職を務めてきたワット・プラタート・ムーンヒン寺の職を退くと表明した。4月21日午後3時、カラシン県ムアン郡チエンクルア区バーンケーペのワット・スアンタンピティ(タンマウティヤン)で、プラクルー・カモン・タンマランシー郡長(ナークー・フアイプン・カオウォン郡)と僧侶10人が礼拝に訪れて本人の意志を確認した。
退任の理由は高齢と健康管理である。本人は「81歳という年齢もあり、身体を休める時が来た」と穏やかな表情で語った。これまでSNSで退任を示唆する投稿が拡散し、弟子や信者の間で憶測が広がっていたが、正式な意志表明で情報が整理された。住職としての職務は手放すが、寺の登録名簿に名前は残し、ワット・プラタート・ムーンヒンとワット・スアンタンピティの2寺院の後援者(องค์อุปถัมภ์)として関わり続ける。
ルアンプー・シラは東北部を代表する尊師僧侶として知られ、全国から参拝者が訪れる著名人である。タイ仏教界では、有名僧侶が住職を退く決断は大きなニュースであり、地域の信者と寺院経済の両方に影響が及ぶ。弟子たちの間では「まだ現役で導いてほしい」との声がありつつ、高齢による休息の申し出には理解を示す流れとなっている。
ワット・プラタート・ムーンヒンはカラシン県の代表的な信仰スポットで、ルアンプー・シラの名声とともに参拝者を集めてきた。後任の住職選定は今後、郡長クラスの僧侶と寺の委員会の協議で進む。後援者として残るルアンプー・シラの名前は、寺の信仰と参拝者招来に引き続き重要な象徴となる見込みだ。
タイ仏教界では近年、高僧の退任・失踪・不祥事などを機に寺院組織のガバナンスが話題になることが増えている。先に報じたワット・ライキン元住職が寺院資金20億バーツ横領で懲役50年の判決や、アユタヤのサナームチャイ寺院住職が1ヶ月以上失踪している件も背景の大きな文脈にある。
今回のような「高齢による円満な退任」は、タイ仏教の運営が過渡期にある中で、一つの健全な事例として受け止められている。在タイ日本人にとっても、地方を旅するときに立ち寄る寺院の住職がどんな人で、どの系譜に連なる僧侶なのかを知ることは、信仰観光の深みを増すきっかけになる。ルアンプー・シラの後援者としての活動は今後も続く見通しで、参拝時の注目人物であり続けるだろう。