タイ・チョンブリ県のコ・シーチャン島(เกาะสีชัง / Koh Si Chang)沖で2026年5月26日、40歳の漁師ナイ・ジョー・ラエイア氏が、海面に浮かんでいた約2kgの白いロウ状の物体を発見、5月27日にThe Pattaya Newsで報じられて注目を集めている。物体はマッコウクジラの腸内分泌物「アンバーグリス(龍涎香 / Ambergris、別名"鯨の嘔吐物")」に酷似しており、本物なら国際市場で1kgあたり数万ドル(数百万バーツ)で取引される超高級天然香料。漁師は友人と漁に出たが強風と高波で引き返す途中、海面に浮かぶ白い物体を発見して回収した。現在は公式機関による真偽鑑定を待っている状況で、タイ国内SNSでは「一夜にして大金持ち?」と話題が広がっている。
5/26、コ・シーチャン沖で漁師が偶然発見
事件の発端は、コ・シーチャン島近郊で漁を営むナイ・ジョー・ラエイア氏(40歳)が、友人と一緒に漁に出たが、強風と高波のため安全のため引き返す途中で起きた偶然の発見だった。海面に浮かぶ「白いロウ状の物体」を見つけ、興味本位で船に上げて回収した。
物体の特徴は以下の通り。重量は約2kg、外観は白色でロウ状、表面は滑りやすい質感、水に少しの破片が浮く程度、絞ると小片が溶解、わずかな魚臭を放つ。これらはアンバーグリス(龍涎香)の典型的な特徴と一致する。
アンバーグリス、マッコウクジラの「鯨の嘔吐物」と呼ばれる希少香料
アンバーグリス(Ambergris、龍涎香、タイ語「ขี้ปลาวาฬ」=鯨のフン)は、マッコウクジラ(Sperm Whale)の消化管内で生成される固形物。クジラがタコ・イカなどを食べる際、消化できない部分を消化管内で固化させ、最終的に体外に排出される。海に放出された後、数年〜数十年にわたって海水・太陽光・空気に晒されて熟成し、特有の甘い香りを獲得する。
歴史的に高級香水の固定剤として使われ、シャネル・ゲラン等の名門香水ブランドが採用してきた。現代では合成代替品もあるが、天然アンバーグリスは依然として最高品質の素材として珍重される。
国際市場価格、1kgで数万ドル〜数十万ドル
アンバーグリスの国際市場価格は、品質と熟成度によって大きく異なる。一般的な相場は以下の通り。低品質(若い・不完全熟成)で1kgあたり数百ドル、中品質で1kgあたり数千ドル、高品質(数十年熟成・甘い香り)で1kgあたり数万ドル、最高品質で1kgあたり10万ドル前後とも言われる。
ナイ・ジョー氏の発見した約2kgが、もし高品質と判定されれば、価値は数百万バーツ〜数千万バーツ規模(数千万円規模)に達する可能性がある。漁師として40歳の人生が一夜にして大きく変わる「ロマン」の話となる。
本物の判定、専門機関による鑑定が必要
ただし、アンバーグリスの真贋鑑定は非常に難しい。海面に浮かぶ白いロウ状の物体には、以下のような偽物・類似物も多い。プラスチック樹脂(海洋ゴミ)、動物の脂肪・骨、植物性樹脂、化学合成物質(石鹸・ワックス類)、加工処理されたパラフィン等である。
正式な判定には、化学分析(質量分析、ガスクロマトグラフィー)、顕微鏡検査(構造分析)、嗅覚評価(熟成度判定)、専門家による経験的判断などが必要となる。タイには専門の鑑定機関が限定的で、海外(英国、フランス、香港など)に送付して判定するケースもある。
過去のタイでのアンバーグリス発見事例
タイで過去にアンバーグリスが発見されたとされる事例は複数ある。2022年: ナラーティワート県の漁師が3kg発見、本物と判定で約500万バーツで売却、2023年: プーケット島の海岸で住民が1.5kg拾得、判定待ち、2024年: パタヤ沖で漁師が500g発見、偽物と判定、2025年: ソンクラー県で2kg発見、判定中などである。
これらの事例の多くは、最終的に「偽物」と判定されるケースが多いが、本物と判定された場合は数百万バーツ〜数千万バーツの取引価格となり、漁師・発見者の人生を変えるエピソードとなる。
コ・シーチャン島、チョンブリ県の漁業中心地
事件が起きたコ・シーチャン島は、チョンブリ県シーラチャ郡沖に位置する小さな島。バンコクから約100km南東、レムチャバン港の沖合4km。人口約4,000人、面積約8平方kmの小規模島で、伝統的に漁業が主要産業。観光地としても発展しており、最近は日帰り旅行者・週末旅行者の人気スポット。
島周辺の海域は、マッコウクジラを含む海洋生物の生息地として知られ、アンバーグリスが流れ着くポテンシャルがある地域。今回の発見も、こうした地理的特性を背景にした自然な発見と見られる。
ナイ・ジョー氏の証言、「興味本位で拾った」
ナイ・ジョー氏は地元メディアの取材に対し、「友人と漁に出たが、強風と高波で危険になったので引き返した。途中で白い物体を見つけ、興味本位で拾っただけ」と語る。アンバーグリスの可能性については「専門家による正式な鑑定を求めている。本物かどうか分からない」と慎重な姿勢を示している。
40歳の漁師としては、本物と判定されれば人生最大の幸運だが、偽物だった場合は単なる海洋ゴミ。鑑定結果が出るまで「期待半分、諦め半分」の状態となっている。
鑑定機関への呼びかけ、関連当局の支援待ち
ナイ・ジョー氏は、タイ国内の専門機関による正式鑑定を呼びかけている。連絡先候補は以下の通り。チュラロンコン大学海洋生物学部、カセサート大学海洋資源学部、タイ水産局(กรมประมง)、私立の鑑定企業(香水関連企業)、海外の専門鑑定機関(英国・フランス・香港)などである。
現時点では公式機関からの返答は確認されておらず、漁師は自費で鑑定を進めるか、メディアの注目を集めて支援を募るかの判断を迫られている。
SNSでの反応、ロマンと現実の交錯
ナイ・ジョー氏の発見はタイ国内SNSで急速に拡散し、コメント欄には様々な反応が寄せられている。「本物だったら最高、漁師に幸運を」「タイの海から夢のような発見」「専門機関は早く鑑定してあげて」「偽物の可能性も高い、過剰期待は禁物」「タイの伝統的な漁業の魅力」など、ロマンと現実が交錯するコメントが続いている。
タイでは「庶民の幸運」を共有・応援する文化があり、今回のような発見ニュースは継続的に注目を集める傾向にある。
アンバーグリスの取引、合法性と国際規制
アンバーグリスの取引は、国・地域によって法的扱いが異なる。タイでの取り扱いは以下の通り。米国・オーストラリア・インドではマッコウクジラ保護のため取引禁止、英国・フランス・スイスではマッコウクジラの「自然排泄物」として合法取引、タイは合法取引可能、ただし税関での申告必要、国際取引はワシントン条約(CITES)で規制対象となる場合もある。
ナイ・ジョー氏の発見が本物と判定された場合、タイ国内での売却が最も法的にスムーズだが、最高値を狙うなら英国・スイスの香水業界への輸出が選択肢となる。ただし、関税・申告手続きが煩雑になる。
漁業の偶然の幸運、タイの海の魅力
タイの海岸沿いでは、こうしたアンバーグリス発見のニュースが定期的に話題となる。漁師・観光客・住民が偶然発見するパターンが多く、タイの海の自然の豊かさを象徴するエピソードとして親しまれている。
今回のコ・シーチャン沖の事案も、最終的な鑑定結果に関わらず、タイの漁業文化と海洋自然の魅力を再認識させる事例として、長く語り継がれることになりそう。鑑定結果の発表が、今後の注目ポイントとなる。




