バンコク東部プラカノン地区で、海水の逆流によって堤防が破壊され、4月21日未明にかけて58世帯が約2時間にわたって浸水被害を受けた。軍部のタイ王国内安全機関(ISOC)第1地域バンコク支部と、バンコク都庁排水局が共同で現場対応にあたり、同日中に応急修復が完了している。
被害が出たのはプラカノン揚水ポンプ付近にあるケーントラン地区(Kae Tang)である。4月20日月曜日の夜、海水の潮位上昇が高まり、タイ湾から運河を逆流する形で堤防を圧迫した結果、構造物の一部が破損。住宅地に水が流れ込んで58世帯が浸水を経験した。うち8世帯は家屋に直接被害が発生している。
対応を指揮したのはISOCバンコク支部副部長のペットエーク・インタラタット中将で、排水局の技術チームが破損箇所の応急補修に入った。大型土のう(ビッグバック)を新しいものに交換し、鋼鉄プレートで補強する作業を当日中に完了させる目標で動いた。状況は同日昼までに平常に戻り、排水局は再発防止のため水位監視を継続している。
バンコクの低地は潮位上昇と運河逆流の影響を受けやすく、毎年数回の「海水逆流(น้ำทะเลหนุน)」対応が発生する。4月の大潮時期は特に注意が必要で、タイ湾の満潮にチャオプラヤー川流域が重なると、プラカノン・バンナー・サムロン方面で堤防への圧力が高まる。気候変動による海面上昇の進行で、今後はこの頻度と強度が高まるリスクが指摘されている。
在タイ日本人にとっても、プラカノン・バンナー・エカマイ周辺は居住者が多いエリアである。今回の浸水は発生時刻が深夜から早朝で、一部の住民は翌朝の通勤前に片付けに追われた。コンドミニアムの多くは1階以上に生活空間があるため直接被害は限定的だが、戸建て・タウンハウスに住む世帯では家財の避難対応が必要になるケースがある。
バンコク都庁は近年、排水ポンプの更新、堤防の補強、水位センサーの増設などを段階的に進めてきた。ただし市内で海水逆流に最も弱い区は、いまなお江戸川のような低地河岸が続いており、根本的な対策には数年単位の投資と工事が必要である。引越し先を選ぶ際、浸水履歴・近隣の運河・堤防の状態まで確認する価値のある情報である。