バンコク中心部プラトゥーナム地区の地価が、MRTオレンジ線の建設進行を受けて平米(タラーンワー)あたり200万バーツ級まで倍増している。大手デベロッパーMQDCの親会社DTGOが、インディラ・スクエアとインディラ・リージェント・ホテルの運営権を2026年1月1日から20年にわたって取得することが発表されており、街の再編が本格化しつつある。
プラトゥーナムはバンコク最大級の衣料卸売市場として知られ、タイ国内外の小売店主が仕入れに訪れる商業集積地である。今までは商業用途の中低層ビルが立ち並ぶ印象が強かったが、MRTオレンジ線の駅2つが近接することで、オフィス・商業複合施設と高層住宅が混在する高付加価値エリアへの変貌が期待されている。
MRTオレンジ線は総延長35.9kmに及ぶ地下鉄プロジェクトで、28駅(地下21駅、地上7駅)から構成される。完成時にはバンコク東部から西部までを横断する重要な交通軸となり、プラトゥーナムはその中心部のハブ駅の一つとして機能する予定だ。先に報じたプラトゥーナム陸橋が4月24日夜から閉鎖、2027年2月まで続く工事がまさにこのオレンジ線の地下構造物を作るためのものである。
MQDCとDTGOの参入は、街の再開発にブランド力を注入する意味合いが大きい。DTGOは「IconSiam」「101 True Digital Park」などを手掛けてきた大手複合デベロッパーで、インディラ・スクエアとインディラ・リージェント・ホテルの改装・運営で、プラトゥーナムの「市場色」を残しつつ高級ホテル・ショッピングモールのエッセンスを加える計画である。
地価の倍増は、バンコク中心部の典型的な「交通インフラ先取り」パターンの結果である。MRT駅が決まると、駅から500m以内のエリアは2〜3年で地価が1.5〜2倍に跳ね上がる例が多く、プラトゥーナムもこの法則を踏襲した形だ。平米200万バーツという水準はスクンビット中心部やサイアムの一等地に並び、プラトゥーナムが「準一等地」から「一等地」へと格上げされつつある。
在タイ日本人の視点では、このエリアは東京の上野〜御徒町にあたる「仕入れと観光が混在する商業地帯」で、出張族から家族旅行までが訪れる。地価高騰で小規模テナントの賃料が上がれば、卸売市場の価格にも徐々に転嫁される可能性がある。一方で高級ホテル・モール開発は、旅行者にとっての選択肢増加として歓迎される要素もある。街が2〜3年で大きく姿を変える過渡期に入った。