ミャンマー空軍の戦闘機がタイ国境付近のカレン民族同盟(KNU)病院を爆撃し、投下された爆弾の1発がタイ領内に着弾した。4月20日午前11時の事件で、メーホンソン県のタイ住民が緊急避難する事態となった。ミャンマー軍の爆弾がタイ領内に落ちるのは極めて異例で、国境と主権を巡る深刻な外交案件に発展する可能性がある。
Khaosod Englishによると、爆撃を実行したのはミャンマー空軍のYak-130とMiG-29戦闘機である。標的はKNUが運営する病院で、ミャンマーとタイの国境線に極めて近い地点にあった。タイ国境の監視員と住民の通報で、爆弾投下の瞬間が記録されている。
少なくとも1発の爆弾がタイ領内に着弾した。メーホンソン県の国境集落に近い地点で、タイの住民と国境警備隊が即座に避難を開始した。幸い人的被害の報告はない段階だが、爆発による建物被害や耕地の損壊が懸念される。
ミャンマー軍は2021年のクーデター以降、少数民族武装勢力との戦闘を激化させてきた。KNUはその代表的勢力の一つで、カレン族居住地区の自治と権利を求めて武装抵抗を続けている。タイ国境地帯はKNUの活動拠点が多く、今回の空爆も国境付近の戦闘激化の延長線上にある。
タイ側にとって今回の事案は、1) 国境上空でのミャンマー軍戦闘機の活動、2) 実際のタイ領内被弾、3) 民間居住地近接での避難発生、という3重の主権侵害要素を含む。通常なら外交ルートでの強い抗議と損害賠償請求が行われる案件である。
メーホンソン県は北部の山岳地帯で、タイ・ミャンマー国境の1400km以上の一部を構成する。住民の多くがカレン族で、KNUとの文化的・血縁的つながりが深い。今回のKNU病院爆撃は、タイ側住民の人道的支援活動にも影響する。
タイ外務省の反応と、アヌティン首相政権の対応が注目される局面である。これまでの類似事案では、タイ政府は内政不干渉の原則と人道支援のバランスを取りつつ、国境の主権については厳格な立場を取ってきた。
在タイ日本人でメーホンソン・チェンラーイ・ターク等の国境県を訪問する場合は、しばらくの間は国境線に近いルートの通行を避けるのが賢明である。観光地ではあるが国境の緊張は予測しにくい変化を起こす。