ウドンターニ県ワンサームモー郡で、タイ独特の村ルールが暴走する事件が起きた。「仏日(ワンプラ)には騒音禁止」という決まりを破ったとして、エアコン設置の技術者が住民パチャム(通称ジャムニアン氏)に暴行される事態となった。さらに「騒音禁止」を主張した住民たちが実は違法賭博中だったという皮肉な事実も発覚し、知事が調査を命じた。
Khaosodによると、事件の発端は4月16日である。被害男性が母親のためにエアコン取付を技術者に依頼し、壁に穴を開ける工事が始まった。ところが近隣住民が「今日は仏日だ、工事も騒音もダメだ」と作業中止を要求してきた。
男性は住民と話し合いに向かったが、口論に発展した。そこにジャムニアン氏が現れ、男性の頭を叩いて転倒させた。村のルールに基づく「裁定」で、被害男性が500バーツの罰金、加害者ジャムニアン氏が3000バーツの賠償という異例の合意が交わされた。支払日は4月25日とされた。
事件がSNSで拡散すると、タイ国内で「村ルールの暴走」として議論になった。ウドンターニ県知事ラチャン・スンハウ氏は治安副知事ピシチャイ・アパイピヤクン氏に調査を命じ、ワンサームモー郡長にも事実確認を指示した。
さらに衝撃的な事実が明らかになった。技術者が証言したところによると、「騒音禁止」を主張していた住民たちは実は屋内で「ハイロー」(タイの違法賭博の一種)を遊んでいたという。工事の音が賭博の邪魔になったから怒鳴りつけた、という皮肉な構図である。
タイの農村部では「仏日」(ワンプラ、仏教暦の8日・15日・23日・29日・30日頃)に騒音・労働・娯楽を控える慣習が残る地域がある。ただしこれは宗教的な道徳指導であり、法律ではない。村ルールとして強制されるケースは、法律との関係で問題がある。
ウドンターニ県知事の調査で、村ルールの法的位置づけと違法賭博の摘発が並行して進む見通しである。仏日の「静粛」が口実として乱用され、暴行と違法賭博が隠れていた構図は、タイの地方自治と法の支配を巡る根本的な問題を浮き彫りにする。
在タイ日本人で地方移住や長期滞在を検討する場合、村ルールと法律の関係は理解しておきたい領域である。宗教的慣習と法律の線引きが曖昧な地域では、今回のような事態に巻き込まれるリスクも潜在する。