タイで絶大な人気を誇るTikTokerのジェニー・ラチャノック(通称「ジェニー・ノームダイ」)が、7000万バーツ(約3億円)の訴訟に直面している。菓子パン(ขนมเปี๊ยะ、中華菓子のパオ)ブランドの代理販売仕事で受けた報酬に対する訴えで、近日中に裁判が予定されている。ジェニーは「コンテンツではなく本物の訴訟である」とSNSで窮状を告発した。
Khaosodによると、ジェニーはInstagramとTikTokへの投稿で「裁判が近づいたため事態を皆に知ってほしい」と訴えた。7000万バーツという金額は個人クリエイターにとって破滅的な規模で、タイの代理販売業界全体に波及する事案になる可能性がある。
訴訟の核心は「商標の争い」である。ジェニーが代理販売した菓子パンブランドと、別の競合ブランドが名称で争っている状態だった。ジェニーはこの争いを事前に知らず、通常の商業案件として報酬を受け取って販売しただけと主張している。
ジェニー本人の説明によると、原告は彼女が販売した菓子パンブランドではなく、そのブランドと商標争いをしている競合企業である。6-7名の共同被告としてジェニーも訴えられた形となる。「菓子パンブランドと自分には出資関係も経営関与もない」と強調する。
タイではTikTok・Instagramのインフルエンサーが企業商品の代理販売を担うビジネスが急成長している。ライブコマースの中で商品を紹介し、販売手数料を得る形である。ジェニーのようなトップクラスのクリエイターは1回のライブで数百万バーツを動かす力を持つ。
今回のケースが示すのは、代理販売者が「ブランド側の商標紛争」に巻き込まれるリスクである。代理契約の文面で商標保証の有無が問われ、紛争が発生した場合に販売者が共同被告にされる可能性がある。
ジェニーは「代理販売を仕事にする全ての人への問題提起」として事態の公開を選んだと述べた。業界の契約慣行と法的保護の整備が問われる局面である。裁判の帰趨は、タイのインフルエンサー経済の未来にも影響する可能性がある。
在タイ日本人で代理販売やPRの仕事に関わる立場の人にとっても、他人事ではない事例である。契約書の文面を精査し、商標や品質保証に関する免責条項を確認する習慣が、トラブル予防の基本となる。