タイを代表する国民的カップル、ネデン・クギミヤ(39)とヤーヤ・ウラサヤ(31)の結婚式が4月17日にコーンケーン県で挙行された。花婿の故郷で伝統儀式に則った華やかな式典だったが、SNSで思わぬ火種が上がっている。カンボジアのネットユーザーが「結婚式の伝統儀式はクメール文化のパクリ」と主張し、タイ側と文化論争に発展した。
Khaosodによると、カンボジア側が問題視したのは結婚式で行われた「新郎新婦が床に座る形式」「手首に糸を結ぶ儀式」「新婦が新郎の足を洗う所作」である。「古来クメール王朝の結婚儀礼をタイが盗んだ」との主張が、Facebookユーザー「Lertler Verwang」の引用投稿でタイ側に伝わり、瞬く間に炎上した。
タイ側の反論は激しい。「うちの祖父母の代からやってきた儀式だ」「コラート出身の40代だが、親の結婚写真でも母が父の足を洗っている」「カンボジアが後から持ち出しているだけだ」といった反論コメントが殺到した。
タイとカンボジアの文化盗用論争は今に始まったものではない。ソンクラン、ムエタイ、トムヤムクン、伝統舞踊などの起源を巡って、長年SNS上で争いが続いてきた。両国はインドシナの古代文化圏を共有してきたため、起源を明確に分けることが難しい面もある。
ネデンは日本人の父とタイ人の母を持ち、ヤーヤはノルウェー人の父とタイ人の母を持つ。両者は2013年のドラマ共演がきっかけで交際が公となり、12年を経て結婚に至った。インスタグラムのフォロワーはそれぞれ2000万規模で、結婚発表と式典は各紙・各局がトップ報道する国民的関心事だった。
今回の文化論争は式典の余韻に水を差す形となったが、タイ国内では「タイ文化を守る機運」が高まっているとの見方もある。4月はタイとカンボジアが共通のソンクラン休暇を終えた直後で、文化的アイデンティティの話題に火がつきやすい時期である。
文化の起源争いは当事国同士で結論が出る性質のものではなく、SNS時代の新たな外交案件として定着しつつある。タイ国民にとっては結婚そのものの祝福を汚された格好で、しばらくはカンボジアとの文化比較が続きそうだ。