タイの金取引大手YLGブリオン・インターナショナルが、2026年第4四半期の金価格目標をバーツ建てで9万バーツに据え置いた。足元では装飾品が7万3250バーツまで反発するなど乱高下が続くが、同社は「上昇トレンドは崩れていない」と強気の見方を示している。
強気予測の最大の根拠は、中国の中央銀行による大量購入である。中国人民銀行は17カ月連続で金を買い増しており、その勢いに衰えは見られない。背景には世界的な貿易政策の不透明感があり、ドル資産への依存を減らす動きが加速しているとYLGのパワン・ナワワッタナサップCEOは分析する。
地政学リスクも金相場を下支えしている。2月末から6週間以上にわたる緊張状態が続き、一時は2週間の停戦合意が発表されたものの履行されず、先行きの不透明感が払拭されていない。通常であれば紛争時に安全資産として買われる金だが、今回は「交渉進展」のニュースにも反応する特殊な値動きを見せている。
こうした動きの背景には為替の影響がある。エネルギー価格高騰によるインフレ懸念が後退し、ドルが約0.3%下落したことで、ドル建てで取引される金の割安感が増した。一部の投資家は直近の価格調整局面を「買い場」と捉え、資金を金市場に振り向けている。
ただし短期的には注意も必要である。地政学的緊張が続く局面では投資家が金と他の資産の間で利益確定を繰り返すため、値動きが荒くなりやすい。YLGは長期的な上昇基調に自信を示しつつも、米国の政策に対する市場の不信感が続く限り、ボラティリティの高い展開が当面続くとの見通しを示した。前日には1日で1250バーツ急騰する場面もあり、金投資を検討する際はタイミングの見極めが重要になる。