2026年5月13日、タイ閣議が「外国人事業法B.E.2542(1999年)」から8業種を除外する原則を承認した。電気通信、IT関連サービス、有価証券・先物取引関連、石油掘削サービスなど、専門規制機関の監督下で別途厳格に規制されている業種について、外国人が事業許可申請を経ずに参入できるようにする内容だ。副首相府のラッチダー・タンマナディレク報道官は「これは無制限な自由化ではない。NBTC・SEC・エネルギー監督機関の規制は維持される」と強調した。
除外される8業種
閣議で承認された除外業種は、電気通信サービス業、資金管理センター業、事務管理・人事・IT関連サービス業、国内債務保証サービス業、金融機器・自動販売機設置スペース賃貸業、石油掘削サービス業、有価証券・先物取引関連業、先物仲介・コンサルタント・ファンド管理業の8件。いずれも個別法で厳格に規制されている分野で、外国人事業法の許可と二重規制になっていたものを整理する。
「自由化ではない」、専門規制機関の監督は継続
ラッチダー報道官は会見で「外国人の経営許可を廃止するものの、高度技術や既に厳格に規制された業種が対象であり、ビジネスプロセスの重複を削減することが目的」と説明した。具体的には、電気通信業はNBTC(国家放送通信委員会)、有価証券業はSEC(証券取引委員会)、石油掘削はエネルギー部局の監督下に残り、業種ごとの専門ライセンスは引き続き取得が必要となる。
政府の狙い:規制重複の削減と外資・専門人材の誘致
政府は今回の措置で5つの戦略目標を掲げる。不要な許可手続きの削減、公正で透明な競争の促進、高度技術と専門家の誘致、タイを地域サービス・ビジネスハブに育成、経済・投資・雇用全体への利益拡大の5項目だ。同時に、ソフトウェア開発業については国内デジタル産業保護の観点から除外対象から外しており、すべてを開放するわけではない姿勢を示した。
在タイ日本人駐在員・外資への影響
外国人事業法B.E.2542は、タイで外資(51%以上の外国人持分)が事業を行う際に許可取得を義務付けてきた中核法令だ。今回の改正で、IT・金融・通信といった日系外資が関わりやすい業種で許可申請プロセスが省略される一方、NBTCやSECといった監督機関への個別申請は変わらず必要となる。タイで現地法人を設立して事業展開する日系企業にとっては、二重手続きの簡素化が実務メリットとなるが、「いきなり何でもできるようになる」誤解は禁物。今後出される具体的な省令・施行通達を見極めながら判断する必要がある。