タイ内閣は2026年5月12日、外国人事業法を改正し8業種について外国人企業の事業許可申請を不要にすることを承認した。政府報道官は「ビジネス許可申請プロセスの簡素化」が目的と説明しており、日系企業を含む外国企業のタイ進出が大幅に容易になる見通しだ。現時点はドラフト段階での内閣承認で、施行日は未確定。
許可不要になる8業種
今回の改正で事前許可が不要になるのは以下の8業種だ。通信サービス事業、資金管理センター事業(Regional Treasury Centre)、事務・人事・IT管理サービス(BPO)事業、国内債務保証サービス事業、金融・ATM機器レンタル事業、石油掘削サービス事業、証券関連事業、タイ先物法の対象外となるコモディティの先物取引仲介事業。
タイ外国人事業法(1999年大改正)はこれまで約45業種を「商務省への許可申請が必要なList 3」に分類してきた。今回の8業種はそこから外れ、外国人企業が許可なく事業を展開できるようになる。
外国人事業法の背景
タイの外国人事業法は1972年に制定、1999年に大改正された。原則として外国人の持株比率を49%以下に制限しており、許可なく外国人が経営できる業種は限られていた。BOI(タイ投資委員会)の恩典を受ければ100%出資も可能だが、手続きに時間がかかる。
今回の改正は、手続きの煩雑さが外国投資の妨げになっているという長年の批判に応えるものだ。商務省・財務省・エネルギー省が連携して対象業種を選定した。
日系企業への影響
日系企業に関係が深いのは通信・金融・BPO・石油掘削の各業種だ。NTTやKDDIなど通信系企業の現地活動が容易になるほか、日本の銀行・証券会社の地域財務センター設置も現行より手続きが簡素化される。
資金管理センター事業の解放は、多国籍企業が地域本社の財務機能をタイに集約しやすくなることを意味する。シンガポール・香港と争うタイの「東南アジアハブ」戦略の一環であり、日本のメガバンクや大手商社がアジア地域の資金管理拠点をタイに設ける際のハードルが下がる。
BPO分野では、コールセンターや人事・IT管理のアウトソーシング企業が100%外資で事業展開しやすくなる。製造業が集積するタイは東南アジア最大の日系企業拠点でもあり、関連サービス業の進出が加速する可能性がある。
今後のスケジュール
国税局が「より適切な措置」を最終化し、国会審議を経て施行される予定だ。具体的な施行日は現時点で未定だが、アヌティン政権は外資誘致を最優先課題の一つに掲げており、早期施行を目指すとみられる。タイに進出を検討する日系企業は、今後の法改正の進捗を注視する必要がある。


